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JKとメガネにITをかけて鯖江と解く--「電脳コイル」目指すjig.jp福野社長 - (page 4)

吉澤亨史 山田竜司 (編集部)

2014-08-21 07:00

--鯖江はデータシティとして呼ばれているが、未来像は。

 興味がある人は調べてもらいたいのですが、理想型はアニメ「電脳コイル」の大黒市です。すべてが情報化されている状態を作りたいですね。そのためには、まだまだデータが足りないと思います。例えば道の形が幅や高さまでデータ化されていると、看板が要らなくなります。自国の言葉で表示できますし、見たくないものは消せる。それが可能になっている世界ですね。データはあるところにありますし、取得しようと思えば取得可能です。

 日本は税金を使って、準天頂衛星を何個も打ち上げようとしています。そこから得られるデータは、市民生活に役立てなければ意味がありません。地図に関してもオープンデータになる方向にあります。うまく活用しないと「Google Maps」に先を越されるでしょう。準天頂衛星からのデータが、まずはオープンデータになります。国土地理院が持っているデータもオープンデータになる。それは国が出したロードマップで決まっています。

 市役所などでは工事用の地図データを持っていますが、データ化するための手間と、実現できることがまだ見えていないから積極的ではありません。行政の業務効率をどんどん上げて民間がサービスするようになれば、行政が手がける仕事はデータ化だけで済むようになります。そういうことを進めて行くにも、鯖江のように適度に狭いことが最適です。鯖江市内の全戸をデータ化することも何とかなるでしょう。


IchigoJam

 ほかに(社会的な取り組みとして)子供向けに「IchigoJam(イチゴジャム)」という手作りコンピュータを開発しました。今の子供は、PCは使うけどプログラムを作る機会が全くないんですね。家で作ったプログラムが、家のPCで動くだけじゃなくて、全世界のスマートフォン向けに配れる。そんな夢のような世界があるのに、それを知らないのはもったいないと考えました。

 根っからのPC好きを生むきっかけになればいいなと思って作りました。イギリスに「Raspberry Pi」という手作りコンピュータがあるので、対抗してイチゴ、パイではなくジャムとしました。価格もイチゴ(1500円)です。スマホのゲームよりも面白いものがあるということを子供たちに知ってほしいと思います。実際にアプリを作って、オープンデータの面白さに気がついてiPhoneアプリを作るまでなら、小学校高学年なら余裕だと考えています。

 子供向けに注力しているのは、大人の限界を感じたからです。こんなに面白い世界なのに、オープンデータを使ったアプリ作りが思ったほど流行していないし、スマホという素晴らしいものがあるのに、みんなゲームばかりしています。与えられたもので遊ぶだけです。

 個人的には、世界中がクリエイティブを発揮すれば、今までないような面白い出来事がどんどん出てくると思っているのですが、今ひとつな状況です。子供たちが世代を超えて、得意不得意をカバーしあって、交渉などの難しい部分は大人がサポートする。そういった世代を超えたコラボレーションも、これから面白くなっていくと思います。

 先日、世界銀行の総裁が来日してパネルディスカッションをやっていましたが、多くの大人が子供の可能性を理解していないと感じました。「教育してやろう」という上から目線では、子供の潜在能力を見誤ると思います。大人たちが解決できていないことが山ほどある中で、子供に何を教えられるんだろうと。

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