3. フランス国家憲兵隊
ミュンヘン市と同様、フランス国家憲兵隊(フランス軍の警察部隊)は、ほぼ10年をかけてLinuxとオープンソースソフトウェアに移行してきた。
2014年内に完了予定の移行プロジェクトでは、この部隊の7万2000台のPCをWindows XPから「GendBuntu」に移行する予定だ。GendBuntuは、Ubuntu長期サポート版ディストリビューションの憲兵隊専用バージョンだ。
OSの移行と同時に、憲兵隊ではオフィススイートをMicrosoftから「OpenOffice」に、デフォルトブラウザを「Internet Explorer」から「Firefox」に、さらに電子メールは「Thunderbird」に移行するとともに、画像エディタの「GIMP」と動画プレーヤーの「VLC」を採用しようとしている。
GendBuntuのロールアウトは段階的に行われた。まず、5000台のPCでテスト運用(「手工業段階」と呼ばれた)として移行を行い、その後の数年で「工業化段階」として3万台程度で変更を行った。その後、最終的にペースを速めた移行を行った。
同憲兵隊では、2008年から、導入が完了する2014年の間で、デスクトップの総所有コストが40%低下すると試算しており、このコスト削減は、ソフトウェアのライセンシングを減らせたことによるとしている。
フランス内務省のテクノロジおよびISサービス担当部門のStéphane Dumond少佐は米ZDNetに、この移行は簡単なことではなかったと語っている。
「毎日、組織の内外からの抵抗と戦わなければならなかった。内部から抵抗が生じるのは、プロジェクトマネージャーの一部が、われわれがUbuntuに移行していることを往々にして忘れるためだ。そして、外部から抵抗が生じるのは、企業(たとえばSAPなど)にわれわれとの契約を落札させるには、Ubuntu完全準拠のソフトウェアを提供させなければならなかったためだ」(Dumond氏)
4. 米国防総省
米国防総省のソフトウェア保護の取り組みでは、政府職員が信頼性の低いPCから安全なネットワークにログインするのに役立つ、LinuxベースのOSを開発した。
「Lightweight Portable Security」ディストリビューションは、CDやUSBスティックから直接実行できるように設計されている。国防総省の職員がホテルや自宅で、USBスティックをコンピュータに差し込んで、元の状態のデスクトップを起動させれば、そのコンピュータのハードディスク上に活動の痕跡が残ることがない。
Lightweight Portable Securityは国防総省が認可した「共通アクセスカード」リーダーをサポートしている。これは、国防総省ネットワーク上でのユーザー認証に必要なものだ。
5. 欧州原子核研究機構(CERN)
CERNは、長年にわたるLinuxユーザーだ。この研究所では、光速に近い速度での粒子衝突実験でヒッグス粒子が発見されている。
CERNの研究者たちが頼りにする3000台超のデスクトップには、Scientific Linuxのカスタマイズ版、「Red Hat Enterprise Linux」、Ubuntu、「CERN CentOS 7」のいずれかが搭載されている。
CERNでの実験では大量のデータが生成される。大型ハドロン衝突型加速器(LHC)を運用していた時期は、ヒッグス粒子を検出する実験に使われたこの粒子加速器は、1年間で約30ペタバイトのデータを生成した。LHC内のセンサによって収集されたデータの90%以上が破棄された上で、それほどの大量のデータが残った。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。