三井住友建設、VDI環境の遅延をオールフラッシュアレイで解消

山田竜司 (編集部)

2014-11-06 06:00

 三井住友建設はデスクトップ仮想化(VDI)環境を構築し、その基盤として、オールフラッシュアレイのストレージ「FA-420」を導入、多数のVDIが動作することによる遅延をオールフラッシュアレイで解消している。ピュア・ストレージ・ジャパンが11月5日に発表した。

 三井住友建設では、全国に約450の建設作業拠点を持つ。それぞれの拠点では、通信環境を開設しているが「建設期間が一年未満のため光回線はひかない」「トンネル工事のためISDN回線も引かない」など、拠点によって通信環境は異なるという。

 一方、2010年4月に会計システムをERP(統合基幹業務システム)に移行し、スタンドアロン型の損益管理システムをクライアントサーバ型に移行、光回線が推奨環境となった。ところが全国約450カ所の拠点のうち、光回線が引ける拠点は約半数程であり、回線状況が劣悪な拠点では工事に必要な発注書の作成に1時間かかるなど業務に支障が出ていた。

 これに対しデスクトップ仮想化導入の検討を2011年にスタート。既存のファイルストレージと共有する形でデスクトップ仮想化環境を構築し、2012年6月より段階的な導入を進めた。導入当初は効果があったが、仮想デスクトップが100台超となり、デスクトップ、ブラウザの起動が遅い、Windowsアップデートに1時間かかる、再起動すると30分間は利用不可になってしまうなどの通常業務に影響を及ぼす現象が発生してきたという。そこで原因調査を進めたところ、ストレージがボトルネックとなっていることが判明し、デスクトップ仮想化専用ストレージの導入検討を開始した。

 基盤となるストレージの選定には、既存ファイルストレージの後継機にSSDをキャッシュとして搭載する方法や、SSDとHDDのハイブリット型、オールフラッシュのストレージをパフォーマンス、価格の両面から検討を進めたという。ディスクに書き込まれる前にデータの重複排除処理ができる“インライン重複排除”のデータ圧縮率や圧縮機能、I/O性能とコストパフォーマンスを評価し、FA-420の採用に至った。

 これにより、ストレージ側の遅延が1ミリ秒以下に抑えられ、始業時などクライアントへの高負荷時でもI/O処理性能を発揮。仮想デスクトップクライアントでは、ブラウザの立ち上げ時間が1分程から数秒に、デスクトップ再起動にかかる時間が30分から2分程に短縮。Windowsアップデートの所要時間も1時間から15分で完了するなど、利用ユーザーの利便性が大幅に向上したという。

 ストレージ利用効率も向上した。既存の共有ストレージではデータ削減効率が2分の1程だったが、FA-420導入後は、インライン重複排除および圧縮機能により11分の1となり、既存の共有ストレージの重複排除率は約5倍に向上した。

 三井住友建設では、仮想デスクトップソフトウェアのバージョンアップ作業を継続し、HTMLベースのアクセスによるスマートデバイスからの社内システム利用や、BYOD(個人所有デバイスの活用)利用の際の仮想クライアント基盤としてデスクトップ仮想化環境の活用を目指す。


オールフラッシュアレイのストレージ「FA-420」導入後の構成図

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