先程と同じUserVoiceページの返信の中で、OneDrive担当グループプログラムマネージャーであるJason Moore氏は次のように述べている。
プレースホルダに対するフィードバックはわれわれの耳にも届いている。このモデルには素晴らしい点がたくさんあるという意見にもわれわれは同意している。例えば、すべてのファイルがPCと同期されていなくても、クラウド上のすべてのファイルを表示させられるのは素晴らしい点である。しかし、われわれはプレースホルダの構築方法に満足していなかった。そして、一部のユーザーが混乱している(例えば、オフライン時に利用できないファイルがあることに対する混乱)、一部のアプリケーションがプレースホルダと上手く連携しない、同期機能の信頼性がわれわれの求める水準に達していない、といった明白なフィードバックが寄せられた。
そこで、われわれは一歩離れて、WindowsのOneDriveを新たな視点で見直した。当社が施した変更は重大なものである。われわれはただ単にプレースホルダを「無効」にしたのではなく、「Sync」(同期)の仕組みに根本的な改善を施し、あらゆる状況において信頼性を確保することに注力している。
言い換えれば、「申し訳ないが、われわれは今もこの機能の開発の途上にある」ということだろう。
現時点で、この機能を復活させる可能性は、少なくとも選択肢には入っているのだろうか。Moore氏の「それは、Windows 10では、プレースホルダではなく選択型の同期を採用することを意味する」という返信を見る限り、その可能性はなさそうだ。
Moore氏は返信の中で、まるで後で思いついたことのように、今回の変更の理由の1つかもしれない情報を明かした。Microsoftは「1つの同期エンジンの下に、OneDriveと『OneDrive for Business』を統合しようとしている」と同氏は書いている。「Office 365 Business」や「Office 365 Enterprise」の高額なサブスクリプション料金を支払っているMicrosoftのOneDrive for Business顧客は、現時点では選択型同期オプションを利用できないので、この機能の追加は大幅な改善だ。これら2つのストレージソースでは異なるデスクトップクライアントを利用するが、いずれもOneDriveモバイルアプリ、そして、最新「Office」デスクトップアプリの「File Open」(ファイルを開く)タブと「Save As」(名前を付けて保存)タブに統合される。
さらに、Moore氏はアーキテクチャ面での変更を施す決定に影響を及ぼした大きな要因として、「無制限ストレージに拡張可能なモデル構築への取り組み」も挙げた。Microsoftによると、スマートファイルのプレースホルダに必要なディスクスペースはオリジナルファイルの容量のわずか5%だという。しかし、クラウド上に数百Gバイトのファイルがある場合、それらのプレースホルダファイルだけで10Gバイト以上のスペースを占有してしまう可能性がある。
拡大するクラウドと縮小するローカルストレージの間で衝突が起こりそうな気配もある。
われわれがOneDriveのようなクラウドサービスに保存するデータの量は着実に増加しており、止まる気配は全くない。その一方で、特にモバイルデバイスにおいて、利用可能なローカルストレージの容量は縮小している。Windowsタブレットの中には32Gバイトのローカルストレージを搭載するものもあるが、その多くは既にOSやアプリ、ローカルデータファイルに占有されている。そこに10Gバイト以上のプレースホルダファイルが加われば、それらのデバイスのストレージが限界に達してしまう可能性もある。
このプレビュー版のリリースのペースと、UserVoice経由での一般ユーザーによるフィードバックの有効性は、Microsoftにとって未知の領域だ。今回のような、声高に叫ばれているフィードバックにMicrosoftがどれだけ迅速に対応できるのか、見物である。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。