三国大洋のスクラップブック

3年間で倍増、高級品戦略に成功--アップル“史上空前の好決算”を読む

三国大洋

2015-01-30 07:00

 史上空前の好決算となったAppleの第1四半期(2014年10~12月期)業績発表については、すでにいろんなところでニュースが流れていると思う。

 実際、英語の経済媒体(主に米国)などは「四半期に180億ドルの利益は前例なし」「1時間に約3万4000台のiPhoneが売れた計算」などと、それこそ「(アクセスの)書き入れ時」といった勢いで関連記事を量産している。今回はその中から目に付いたものをいくつか紹介してみる。

誰も予想しなかった「破格の好決算」

 各アナリストのAppleの業績予想を四半期ごとにまとめて載せているPhilip Elmer-DeWitt(Fortune)の記事をみると、最も強気な予想でも「売り上げ728.2億ドル、iPhoneの販売台数7150万台」などとなっている(アナリスト35人の平均は売り上げが687億ドル、1株あたりの利益が2.68ドル。iPhoneの販売台数は6709万台)。

 WSJで引用しているThomson Reutersのアナリスト予想平均も「売り上げ677億ドル、1株あたりの利益が2.60ドル」などとなっている。実際の「売り上げ746億ドル、1株あたり利益3.06ドル。iPhone販売台数7450万台」云々という数字は、こうした予想をはるかに上回るものだったことがよく分かる。

 「iPhone 6」「iPhone 6 Plus」に対する発表、発売後の反応などから「それなりのブロックバスター決算」になるとの見方が優勢だったが、四半期の売り上げが500億ドルを超える巨大企業(Appleの前年実績は売上高576億ドル)で「まさか売り上げが30%も増えるとは…」といったところかもしれない。

“iPhone会社”の売り上げは約512億ドル

平均単価687ドル×7450万台=511億8150万ドル

 「iPhone事業の四半期売り上げが434億ドルになるのでは」との予想が出ていたことを前回の記事で紹介したが、実際にフタを開けてみれば、なんと約512億ドル相当のiPhoneが3カ月間に売れた計算になる。

 iPhone 6 Plusの投入と、それから内蔵メモリ容量の拡大(32Gバイト版廃止)の影響などで「平均単価が前年比で50ドルも上がった」というのは各媒体の記事で触れられている。販売台数の伸びをまとめたWSJ記事のグラフでは、2009年が440万台(前年比88%増)、2010年が870万台(同100%増)、2011年が1620万台(同86%)、2012年が3700万台(同128%増)、2013年が4780万台(同29%増)、2014年が5100万台(同7%増)、そして2015年が7450万台(同46%)となっている。

 「一昨年秋の段階でもっと大きな画面の製品(iPhone)を出していれば、どうなっていただろう…」というのは興味深いところだが、いずれにしても2012年からの3年間で倍増以上というのは、分母が大きいだけにやはり驚くべきことだろう。

 このWSJ記事には別の図解――Appleの業績に関わる数字の大きさを伝えるためのインフォグラフィクスも含まれており、たとえば「Appleの180億ドルという利益はMicrosoft(59億ドル)、IBM(55億ドル)、Intel(37億ドル)、eBay(9億ドル)、Netflix(8億ドル)、Facebook(7億ドル)、Yahoo!(2億ドル)の利益の合計額よりも多い」「(台湾、香港を含む)中国市場のAppleの売り上げ(161億ドル)は、Intelの世界全体での売り上げ(147億ドル)を上回る」「iPhoneが1分間に568台売れた計算」といった比較が並んでいたりする。

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