「コンシューマーサービスはとにかく便利なことが受ける。使い続ける義務はなく、いくらでも乗り換えられる。エンタープライズアプリケーションは、デメリットがあっても使い続けないといけない。分析するために(同じ情報を)入力する場所が4つでもやらないといけない」
より使いやすさを優先して、HUEはUIにフォーカスする中で、人事や財務など業務ごとに一般的に必要とされる検索機能を搭載している。
海外からの驚き
2014年10月にHUEは公式に発表された。その反響はどのようなものだったか。
牧野氏は海外ベンダーのトップ層からメールを受け取った。メールには「衝撃的なものだった。だが(ワークスがやろうとしていることには)同感する。われわれもその方向性に向かわざるを得ない」と記されていたという。また海外からの別のメールには「日本からこうしたものが出てきたのは驚いた。少し悔しい」とあったとしている。
従来一般的だったRDBではなく、分散型KVSをベースにしたHUEは、日本はもちろん海外でも注目される存在と言えるのかもしれない。公式発表の場にはCOMPANYのユーザー企業も多く参加し、HUEの機能が実演され、「すぐにでも使いたい」という声が寄せられたという。
こうした社外からの反響に社内も湧いている。「Googleに勝てるような製品を作れる」「エンドユーザーに喜んでもらえる製品を提供できる」といった思いを牧野氏は受け取っている。そうした思いから牧野氏自身も「エンジニアのモチベーションは上がりまくり」と喜んでいる。
これまでのERPに慣れた技術者は旧来のものしか作れない。まったく新しいものを作ろうとすれば「下手をするとエンジニアを入れ替えないといけないかもしれない」
分散型KVSをベースにしているからこそ、牧野氏はHUEについて「クラウドネイティブ」と表現する。また、HUEが「パンドラの箱を開けた」とも付け加えた。オープンソースソフトウェア(OSS)から出てきたものを活用しながら開発するHUEだが、取材の中でHUEで活用する分散型KVSが「Apache Cassandra」をベースに独自に開発していることも明言した。