本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、日本マイクロソフトの平野拓也 執行役副社長/次期代表執行役社長と、日本オラクルの杉原博茂 取締役 代表執行役社長兼最高経営責任者(CEO)の発言を紹介する。
「クラウド事業はチャレンジャーの姿勢で強力に押し進めていきたい」 (日本マイクロソフト 平野拓也 執行役副社長/次期代表執行役社長)
日本マイクロソフト 執行役副社長/次期代表執行役社長 平野拓也氏
日本マイクロソフトが3月2日、7月1日付けで平野拓也氏が代表執行役社長に就任する人事を発表した。平野氏の冒頭の発言は、その発表会見で、クラウド事業に対する姿勢について語ったものである。
平野氏は3月2日付けで執行役専務から執行役副社長に昇格。7月1日付けで代表執行役社長から代表執行役会長に就く樋口泰行氏とともに、同日からスタートする新会計年度(2016年度)に向けた経営・事業計画の立案に携わるとしている。
社長交代の理由について樋口氏は、「米国本社が昨年トップ交代したのを機に、日本でも世代交代を進め、フレッシュなリーダーシップのもとで経営体制の強化を図るためだ」と語った。同氏は次期社長となる平野氏について、「人格や能力、そして熱意という点でも日本マイクロソフトのリーダーに最も相応しい人材」と太鼓判を押した。
発表内容や会見での発言の詳細については関連記事を参照いただくとして、ここでは平野氏が会見で語った次期社長としての経営姿勢についてのコメントを取り上げておきたい。
「私の思いとしては、日本マイクロソフトを、さらにお客様から愛される会社、使いたくなる製品やサービスを提供し続ける会社、先変革にチャレンジする会社にしていきたい。ビジネスとしては、さまざまな分野でクラウドを中心にワクワクする提案をしていきたい」
こう語った平野氏は、さらに質疑応答でビジネス上の課題について聞かれると、「マイクロソフトは今、グローバルでクラウドおよびデバイスの事業に注力しているが、これらの分野については、グローバルと同様に日本でもチャレンジャーの姿勢でさらに強力に押し進めていく必要がある。具体的な施策については、社長就任時にあらためて発表したい」と答えた。
「チャレンジャー」という言葉は、米国本社CEOのSatya Nadella氏や樋口氏もこれまで意識的に使ってきた印象がある。社内に危機意識を持たせようという狙いが多分にあるとみられるが、平野氏もそれをしっかりと継承していく考えのようだ。