中国政府、サイバー戦争に特化した部隊の存在を初めて公表

Charlie Osborne (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2015-03-23 11:38

 米国企業に対するサイバー攻撃を巡り米中間の緊張が高まる中、中国政府は公的文書を通じて、サイバー戦争に特化した部隊の存在を事実上認めた。人民解放軍が不定期に発行する「The Science of Military Strategy(軍事戦略の科学)」の最新号に、サイバー戦争の戦術について言及した箇所があり、そこからサイバー戦争に特化した部隊の存在が明らかとなった。

 米国の研究機関Center for Intelligence Research and Analysisで中国のサイバー戦争能力を研究するJoe McReynolds氏は、サイバー攻撃への関与を一貫して否定してきた中国政府が、公的文書の中で軍民双方のサイバー戦能力に言及したのは、これが初めてだと述べた

 McReynolds氏によると、中国には異なる領域のサイバー戦争に特化した3種類の部隊が存在するという。国外ネットワークに対するサイバー攻撃と自国ネットワークの防御に特化した部隊、人民解放軍の指揮下でサイバー攻撃を実行する民間人ハッカーの部隊、そして作戦内容に応じて外部のハッカー集団を組織化してサイバー攻撃を実行させる部隊の3つである。

 同氏によると、いずれの部隊も米国企業の営業秘密窃取を目的に活動しており、窃取された営業秘密は中国企業のグローバル経済における優位性の確保に盗用されているという。米連邦捜査局(FBI)のJames Comey長官は2014年10月、中国政府による一連のサイバー攻撃により、米国企業が年間数十億ドルに及ぶ被害を被っているとして警告を発している。

 2014年5月、米国政府は「米国企業に対するサイバー攻撃の実行犯」として5人の中国人を起訴した。この5人は人民解放軍の指揮下で活動する「61398部隊」に属しており、「Comment Crew」や「Shanghai Group」と呼ばれる高度な能力を持つハッカー集団と共謀し、米国に対する膨大な件数のサイバー攻撃を実行に移していたとみられている。なお、中国政府はこの件に関する米国政府からの非難を、根拠がないとして一蹴している。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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