ビッグデータ活用でコスト削減--インテルなどの成功事例

Mary Shacklett (Special to TechRepublic) 翻訳校正: 川村インターナショナル

2015-03-26 06:15

 ビッグデータは、市場の開拓や売り上げ増を実現し、消費者行動を効果的に分析する手段として大きく評価されてきた。しかし今では、バックオフィスや運用コストの削減などの分野でも着実に利用が広がりつつある。

 Intelは2012年以降、チップの市場投入までの期間を短縮する手段として、ビッグデータと予測分析を活用している。Intel製のすべてのチップは、製造の際に品質検査を受けるが、これには1万9000ものテストが含まれる。テストにかかる時間を短縮するため、Intelはリリース前のチップから収集した過去データの分析を開始した。「こうしたリリース前のチップの製造プロセスで得られる情報を一部抽出し、ウェハレベルで分析する。すべてのチップを対象に1万9000のテストを実施するのではなく、特定のチップに集中してテストを行うことで、テスト時間を短縮することができる」。IntelのRon Kasabian氏のこの発言は、InformationWeekの2013年の記事で紹介された。Intelは「Core」プロセッサの1つのラインでこの予測分析プロセスを実施し、2012年に製造コストを300万ドル削減した。

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提供:Intel

 スーパーマーケットチェーンのTescoはビッグデータを活用して、英国とアイルランドの3000店舗で年間の冷蔵コストを20%削減した。TescoはダブリンにあるIBMの研究所と共同で膨大な量の冷蔵データを分析したところ、アイルランドのTesco店舗の多くが、必要以上に低い温度で冷蔵庫を稼働させていたことが判明した。「1年間にわたって毎月収集されるデータに注目する一連の重要業績評価指標(KPI)を設定した。冷蔵庫のあるべき運用方法について何一つ知らなくても、冷蔵庫の挙動が正常でないとき、それを認識することができた」。IBMのインテリジェントビルディング&エネルギー分析担当リサーチエンジニアであるNiall Brady氏は、ComputerWeeklyが2013年に掲載した記事のなかでこのように述べている。

 マサチューセッツ工科大学(MIT)は持続可能性と建物のエネルギー消費の節約に注目し、キャンパスの多くの建物に設置したセンサから送信されるエネルギー使用データを監視している。建物はエネルギーの消費状況に応じて色分けされる。例えば赤く表示される建物は、水漏れが発生しているか、照明、空調、換気のシステムの1つでエネルギーの漏れが発生していることを示す。このエネルギー監視システムもビッグデータ分析を活用して、次に問題が発生しそうな場所を予測している。MITのビルディングシステムアナリストであるBalby Etienne氏はWall Street Journalの2014年の記事で、「効率性が向上した。何を探せばいいか分かっているからだ」と述べた。

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