PTC、「デジタルとリアルをつなげる」IoTを事業の中核に--拡張現実も活用

鈴木恭子

2015-04-17 08:00

 PTCジャパンは4月15日、報道関係者向けに事業戦略を説明した。製品ライフサイクル管理(PLM)ソフトウェアとCADソフトウェアを主軸にしてきた同社だが、今後は“モノのインターネット(Internet of Things:IoT)”を中核に据え、PLMやサービスライフサイクル管理(SLM)ソフトウェア、アプリケーションライフサイクル管理(ALM)ソフトウェアを連携させていくという。

 IoTの台頭で、製造業はビジネスモデルの変革を迫られている。登壇した米PTCワールドワイドセールス部門でエグゼクティブバイスプレジデントを務めるBob Ranaldi氏は「顧客の多くは製造業だが、われわれの事業も変革を遂げている。以前は、CADやPLMがコアビジネスで売上高の大半を占めていた。現在は、IoT事業が急速に伸びている」と説明する。

Bob Ranaldi氏
PTC ワールドワイドセールス部門エグゼクティブバイスプレジデント Bob Ranaldi氏

 同社は2013年12月、IoT向けアプリケーション開発運用プラットフォームを提供する米ThingWorxを買収した。2014年8月に機械間通信(Machine to Machine:M2M)ソフトウェアを開発する米Axedaも買収している。ThingWorxはオープンプラットフォームであり、IoT向けアプリケーション開発の高速化を実現するものだ。

 Ranaldi氏は、「今後もThingWorxの開発には投資を惜しまない。ThingWorxはデジタルとリアル(のプロダクト)をつなげるものだ。これによって価値が生まれ、さらに新たなビジネスを創出できる」と説明する。

IoTを核とした新たな製品連携
IoTを核とした新たな製品連携

 「例えば、自転車の各パーツにセンサを付け、空気圧の変化やペダルの回転数などのデータを直接CADと連携させれば、新たな設計やデザインの気付きが得られる。また、拡張現実(Augmented Reality:AR)を用いたサービスも考えられる」(Ranaldi氏)

IoT活用の例。センサが取り付けられたトラクターにスマートフォンをかざすと、バッテリの状況などトラクター内部のコンディションが可視化されたり、耕耘作業経路が表示されたりする
IoT活用の例。センサが取り付けられたトラクターにスマートフォンをかざすと、バッテリの状況などトラクター内部のコンディションが可視化されたり、耕耘作業経路が表示されたりする

 IoTの価値がいちばん提供しやすいのは、製品ライフサイクルのサービス分野である。例えば、製品写真をデバイスでスキャンすると、その製品のCAD情報を表示させることもできる。同技術を活用すれば、製品メンテナンスの際に現場の担当者がマニュアルを参照しながら作業をするといった「非効率な動作」(Ranaldi氏)から解放される。実際、こうした取り組みは、ワールドワイド規模で行われているという。

ワールドワイドで行われているThingWorxの活用事例(抜粋)
ワールドワイドで行われているThingWorxの活用事例(抜粋)

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