ヴイエムウェア、クライアント仮想化の機能を拡張--Linuxでの3Dにも対応

三浦優子

2015-04-25 08:00

 ヴイエムウェアは4月23日、2月に買収したImmidio製品をVMwareブランドにした「VMware User Environment Manager(UEM)」、Citrix XenAppとCitrix XenDesktopのアプリケーション管理を簡素化する「VMware Horizon Application Managerバンドル」などの販売を開始した。

 同社は2月にアプリケーション配信、ユーザー管理の新たな取り組みとして「VMware Workspace Environment Management(WEM)」を発表し、その一環としてオランダのImmidioを買収した。Immidioの製品を提供するとともに、要望が多かったLinuxデスクトップのサポート、Citrix製品を含めた仮想デスクトップ基盤(VDI)関連機能を拡充させた。

3Dやマルチメディアにも対応--管理もしやすく

 今回の新製品と機能強化は、仮想デスクトップ分野のアプリケーションの分離と配信、ユーザー管理、パフォーマンス監視といった機能を統合的に提供するためのものとなっている。具体的に強化された機能は(1)操作性、(2)Linuxデスクトップ、(3)UEM、(4)アプリケーション管理――の4点になる。

本田豊氏
ヴイエムウェア マーケティング本部 シニアプロダクトマーケティングマネージャ 本田豊氏

 (1)の操作性としては、1年前にリリースされたホスト型アプリケーションとリモートデスクトップサービス(RDS)に続き、2014年第4四半期にプリンタ、スキャナ&イメージングデバイス、2015年第1四半期にスマートカード、USBストレージデバイスをサポートした。2015年第2四半期中にHTML5&Chromebook、クライアントドライブ、マルチメディアストリーミングをサポートすることを発表した。

 「マルチメディアに対応することで、より一層ユースケースを広げることができる」(マーケティング本部 シニアプロダクトマーケティングマネージャ 本田豊氏)

 (2)のLinuxデスクトップのサポートについては、「何年も前から要望があり、特に中国での需要が多かった」(本田氏)という。Linux向けのデスクトップ仮想化ソフトウェア「VMware Horizon 6 for Linux」では、UbuntuやRed Hat Enterprise Linux、CentOSとメジャーなディストリビューターから提供されているものをサポートする。

 VDIメリットをLinuxにも拡大できる点、Windowsとは異なりMicrosoftデスクトップライセンスが不要になることによるコスト削減、製造業からの要望が多かった3DとLinux用オフィスアプリケーションに対応できる点がメリットとなっている。

 (3)のUEMは、WEMでのアプリケーションの配信&分離、エンドユーザー固有の情報と動的なITポリシー、エンドトゥエンドの監視を仮想環境だけでなく、物理環境やクラウド環境でも実現する。

 主なメリットとしてシンプルでスケーラブルとし、プリンタなどの煩雑な設定、既存インフラをそのまま活用することが可能、動的なポリシー設定、ログオンの最適化、ユーザーカスタマイズが可能、あらゆる環境に対応するなどの点がある。

 「Immidioはバージョンを重ねた、歴史ある成熟したソフトウェア。現在は、1人1台のPCを利用するのではなく、1人で複数のデバイスを使う時代となっている。その中で、複数デバイスで同じ環境を引き継ぐことができるのが大きなメリットとなる」(本田氏)

 (4)のアプリケーション管理では、リアルタイムアプリケーション配信ソフトウェア「VMware App Volumes」でエンドユーザーとデスクトップにリアルタイムでアプリケーションを配信する。管理者は、エンドユーザーの操作性を損なうことなく、アプリケーションとデータを配信できるようになる。管理されたボリュームの活用によって、インフラと管理に関するコストを削減する。

 「Windowsアプリケーションをスマートフォンアプリ同様に管理したいと考える管理者は多いだろうが、それを実現するのは実際には容易ではない。これを実現するのがApp Volumesになる」(本田氏)

 XenAppとXenDesktop環境でのアプリケーション管理を簡素化するHorizon Application Managementバンドルは、ログインするだけでCitrix製品を含めたアプリケーションを管理できる。

 Horizon Application Managementバンドルは、UEMをはじめ、Citrix環境でのトラブルシューティングの簡素化とダウンタイムを削減する「VMware vRealize for Published Applications」、App Volumes、アプリケーション仮想化ソフトウェア「VMware ThinApp」、あらゆるデバイス上に安全に展開可能な統合ワークプレイスを提供する「VMware Workspace Portal」が含まれる。

 「Citrix製品を管理することで、Citrixのデスクトップ仮想化環境に満足しているユーザーを当社に乗り換えさせる狙いで作ったものではない」(本田氏)と説明している。

 税別予測価格はUEMが3200円、Horizon Application Managementバンドルが1万3000円。Horizon for Linuxは2015年第2四半期中に提供開始予定で、同時接続ユーザーあたりの税別予測価格は1万6000円。for Linuxは単体で提供されるほか、Horizon 6 Enterpriseの一部として提供することも予定されている。

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