富士通2014年度決算:SI好調もPCなど不振で減収増益--戦略投資で今期は営業益減

怒賀新也 (編集部)

2015-05-01 06:00

 富士通は4月30日、2014年度(2014年4月~2015年3月)連結決算(国際会計基準=IFRS)を発表。売上高は対前年度比で0.2%減の4兆7352億円、営業利益は同21.3%増の1786億円、税引き後の当期利益は同23.7%増の1400億円だった。

 2014年度は、主力のシステムインテグレーションやLSIが好調。対米ドル、ユーロに対して円安が進んだが、PCや携帯電話、ネットワークプロダクトは減収だった。

 2015年度の業績予想では、システムインテグレーションなどを軸に2%の売上増を見込むが、営業利益はビジネスモデル変革のための投資を織り込むため、2014年度より286億円減少するとしている。

SI好調もPCなど不振

 セグメント別に見ると、主力の「テクノロジーソリューション」の売上高は、同1.8%増の3兆3028億円。国内が同0.3%減の2兆475億円、海外が同5.6%増の1兆2552億円だった。営業利益は、同106億円減の2224億円。

 システムインテグレーションが金融や公共分野で顧客の投資が拡大し、増収につながった。インフラサービスも堅調だった。一方、サーバなどを含むシステムプラットフォームは、通信キャリアのLTE収容光伝送装置の導入が一巡した影響で、ネットワークプロダクトが減収。サーバ関連も、前年度に大型システム商談があった反動で減収だった。

 海外でのサービスは、欧州大陸が低調だったが、英国とオーストラリアは伸びた。欧州向けのIAサーバが伸びたが、北米向け光伝送システムに関して、顧客の投資抑制が続き、減収になったとしている。

 PCを含む「ユビキタスソリューション」の売上高は、同5.6%減の1兆628億円。国内は11.2%減少、海外は8.0%増加した。Windows XPのサポート終了による買い替え需要が第一四半期で一巡したことで、PCが減収となった。

 LSIなどを含む「デバイスソリューション」の売上高は、0.8%減の5956億円。国内が4.8%増、海外が6.1%減だった。国内のLSIがスマートフォン向け、サーバ向けを中心に増収となった。

「戦略投資」で営業利益減へ

次期社長の田中達也氏
次期社長の田中達也氏

 2015年度は、売上高としてシステムインテグレーションを中心に2014年度比2%増の4兆8500億円を見込む。

 営業利益は、ビジネスモデル変革のための戦略投資を織り込んで286億円減益で前 年度比16.0%減の1500億円を予想している。変革について、富士通の執行役員常務、最高財務責任者(CFO)の塚野英博氏は「筋肉質な企業体質の構築を図るもの。リソースシフトや教育投資などを含む」と話した。

 PCやスマホなどの低収益な製品事業が足を引っ張っているのではないかとの指摘に対して、6月の株主総会を待って新社長に就任する予定の田中達也氏は「サービス型のビジネスにシフトするべきと考えている」と応えた。

 トピックでは、マイナンバー制度について塚野氏は「中央省庁、地方自治体、民需の順番で5~7年間での需要の伸びを期待していたが、思っていたよりは遅れそう」との認識を示した。マイナンバー関連の事業規模を「2014年度が100億円余り、2015年度は300億円弱」と予想している。

 全体として、順調とするシステムインテグレーションも伸びは限定的である一方、PCやサーバ事業の不調、為替差益が数字を押し上げていることなどは、2015年度に課題を残す数字だ。一方、2014年度は、期を追うごとに売上高、利益ともに増加しており、特に第4四半期(2015年1~3月)で通期の営業利益の6割以上を稼ぐなど「足もとは好調」(田中氏)としている。

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