三井住友銀行は勘定系システムを刷新し、新システムの稼働を5月から開始した。構築を手掛けたNECが5月11日に発表した。
新たな勘定系システムは、メインフレームやストレージに既存システムの後継機を採用し、最新のハードウェアに刷新する形で構築された。システム移行時の互換性を確保することで安全、確実なシステム移行を実現すると同時に、今後の銀行取引量の増加に柔軟に対応する処理性能の向上、高い拡張性による長期稼動なども実現している。
採用されたのは、NECのメインフレームであるACOSシリーズ最新型「i-PX9800/A100」。ストレージにはACOSシリーズ専用ストレージ「iStorage A5000」が用いられている。それぞれの特徴は以下の通り。
i-PX9800/A100
- メインフレーム用独自プロセッサ「NOAH-6」を搭載し、従来機比約3.5倍となる処理性能と、最小2コアから最大32コアまでの高い拡張性を実現
- 消費電力を現行機に比べ60%削減し、TCO削減及び環境保護に貢献
- OS(基本ソフト)の上位互換により、現行アプリケーションをそのまま活用可能
- 万一の故障発生時にも無停止で保守交換が可能など、高い稼働性を実現
- オープンシステムとの豊富な連携機能をさらに高め、ビッグデータ連携ソリューションも提供可能
iStorage A5000
- 最新ハードウェア技術の採用や、記憶媒体として高性能なSSDの全面採用により、従来機に比べ装置性能を最大3倍に向上
- 従来機に比べ最大2倍となる800MB/Sの高速データ転送を実現
- 部品点数を大幅に削減することで故障を低減、装置の信頼性を向上
- キャッシュメモリ故障時でも冗長性を維持しながら高速レスポンスを実現
- メインフレーム用ストレージで初めてドライブ部を3重化し、2重故障も救済できるトリプルミラーを採用するとともに装置の構成部品はバックボードも含めて完全に冗長化、完全無停止保守が可能な連続可用性を実現
- 暗号化機能を標準搭載し、データセキュリティを向上
三井住友銀行システム担当役員は、以下のようにコメントしている。
「今回の勘定系システムの刷新にあたり、NECの最新システムを利用することで今後10年にわたって業務の根幹をなすシステム基盤を固めることができました。機器更改が一段落することから、今後はアジア、リテール、決済といった当行の戦略分野へのシステム投資にとどまらず、デジタルイノベーションなどを活用したさらなる先進的な商品やサービスをお客さまにご提供してまいります」