5月4日から4日間の日程で開催された、米PTCの“モノのインターネット(Internet of Things:IoT)”に特化した自社コンファレンス「LiveWorx 2015」(米国マサチューセッツ州ボストン開催)。2013年12月に買収した米ThingWorxが主体となった同コンファレンスでは、IoT市場の動向や活用事例、さらに今後の展望などが、さまざまな視点から語られた。
コンファレンス2日目は「IoTプラットフォームの未来」をテーマに、IoT関連の製品やサービスを提供するベンダーらによるパネルディスカッションが開かれた。登壇したのは、米AT&TのIoT部門でセールスディレクターを務めるSunder Somasundaram氏、インドWipro Technologiesでバイスプレジデント兼IoT責任者のAlan Atkins氏、米Wind Riverでグローバルアライアンスとビジネス開発のバイスプレジデントを兼任するKeith Shea氏、PTCのThingWorx IoT部門で最高技術責任者(CTO)を務めるDavid Hart氏の4人。モデレーターは米Forresterのプリンシパルアナリスト、Michele Pelino氏が務めた。
「LiveWorx 2015」では、パートナー企業や有識者によるパネルディスカッションが複数開かれた
PTC ThingWorx IoT部門CTO David Hart氏
冒頭、IoTの規格標準化について話が及んだ。現在は、各産業分野で独自の標準化団体が次々と立ち上がっているが、統一された規格は決まっていない。
これについてThingWorxのDavid氏は、「IoTプラットフォームには接続性や拡張性、デバイスマネジメント、ほかのソフトとのインテグレーションが求められる。規格の標準化は、重要な要素となる」とコメントしたが、具体的な標準化策定については言及しなかった。
また、IoTプラットフォームに求められる技術要素については、「開発者がIoTのアプリ開発に時間を割けるような環境を提供するプラットフォームが必要だ。IoTがイノベーティブであるためには、アイデアをすぐに具現化し、市場にいち早く提供しなければならない」(David氏)と述べた。
WiproのAtkins氏は「分析がより重要になる」との見解を示す。「接続性などの部分はすでにコモディティ化が進んでおり、差別化が難しい。IoTのメリットは、(エンドトゥエンドの)一気通貫でデータを収集できることだ。こうしたビッグデータは、予測分析だけでなく、“プリスクリプティブ分析”も可能になる」(Atkins氏)と指摘する。
Wipro Technologies バイスプレジデント兼IoT責任者 Alan Atkins氏
アプリの開発スピードを向上させる技術に注目すべきだと説くのは、AT&TのSomasundaram氏だ。同氏は「IoTアプリは、“マイクロサービス(複数の軽量なサービスを疎結合させる)”アーキテクチャに移行しつつある」と指摘。「IoTアプリ開発スパンは数週間単位が基準」というのがSomasundaram氏の主張だ。これにはパネリスト全員が同意した。
「エンドポイントにコンピュータ機能を持たせることも必要」と力説するのはWind RiverのShea氏だ。「(われわれは)エンドポイントデバイスにも投資をしている。デバイスがインテリジェンスを持てば、IoT活用の幅はさらに広がると考えている」(同氏)
IoTを促進する業種--利益を得やすい業種
製造業は、IoTでビジネスモデルが大きく変化すると言われている。では、それ以外の業種ではどうだろう。「IoTのメリットを享受しやすい業種」はあるのだろうか。