「Power Systems」新製品、4ソケットでCoDを搭載--最大70%の使用率を保証

大河原克行

2015-05-12 18:41

 日本IBMは5月12日、RISCプロセッサ「POWER8」を搭載したUNIX/Linuxサーバの新製品「IBM Power System E850」を発表。16ソケットの「IBM Power System E880」の機能拡張も発表した。「ビッグデータ、クラウド時代を見据えた新たな製品。他社製品に比べて3~4倍のメモリ帯域幅を持っているのが特徴であり、ビッグデータをより高速に処理できる」という。

 Power SystemsのすべてのスケールアウトモデルにI/0ドロアの構成を可能にした。「これは日本のユーザーからの強い要望を反映したものであり、構成するI/Oの追加によって、大量のデータ処理が可能になり、I/Oアダプタの冗長化構成による帯域と可用性の向上を実現できる」と説明している。

 今回新たに投入するPower System E850は、4ソケットシステムクラスとしては、初めて「Capacity on Demand(CoD)」機能を搭載。CoDは、あらかじめ搭載された未使用のプロセッサやメモリなどをシステムを停止させることなく論理区画(LPAR)に追加できる機能。メモリ容量やCPUを柔軟に拡張でき、最大70%の使用率を保証するという。最大2Tバイトのメモリを搭載可能で、インメモリデータベースを使用して、データのアクセスを高速化する基盤としても活用できる。税別の最小構成価格は1398万円。6月5日から出荷する。

Power System E850
Power System E850
伊東成倫氏
日本IBM IBMシステムズ・ハードウェア事業本部 Power Systemsテクニカル・セールス システムズ&テクノロジー・エバンジェリスト 伊東成倫氏

 「Power System 750の後継機にあたるもので、4Uで最大48コアのプロセッサを搭載できる。柔軟性、拡張性、信頼性で優位性を発揮できる。規模に応じた柔軟なシステム構成と、PowerVMによる仮想化の実装やSAP HANAへの対応などにより、ソフトウェアライセンスを最適化できるといった特徴に加えて、スペースと電力コストの削減、I/0ドロアによるPCIeスロットの拡張を可能にしている」(IBMシステムズ・ハードウェア事業本部 Power Systemsテクニカル・セールス システムズ&テクノロジー・エバンジェリストの伊東成倫氏)

 Power System E880では、プロセッサを最大192コアまで搭載できるように拡張。12×16までのPCIeスロットを搭載できるようにした。メモリを16Tバイトまで拡張できる。「IBM DB2 with BLU Accelerationのデータ集約型のワークロードではリニアにスケールすることができた。また、メモリミラーリング機能で高い信頼性を実現している」とした。

朝海孝氏
日本IBM 理事 IBMシステムズ・ハードウェア事業本部 ハイエンド・システム事業担当 朝海孝氏

 理事でIBMシステムズ・ハードウェア事業本部 ハイエンド・システム事業担当の朝海孝氏は、「SoE(System of Engagement)が注目されるなかで、従来システムであるSoR(System of Record)との連携が大切になり、セキュリティも重要となっている。今回の製品で幅広い選択肢を提供できるとともに、ハイブリッドクラウドに最適なサーバとして提供できる」と説明した。

POWER8でHANAをサポート

 すべてのPOWER8搭載サーバでインメモリデータベース「SAP HANA」をサポートすることも発表した。

 「SAP HANA on Power Systemsとして、HANAをPOWER8搭載サーバで稼働させる製品を用意する。ERP(統合基幹業務システム)をすでにPOWERで稼働させているユーザーは、同じ筐体でHANAを稼働させることができ、システム運用の簡素化が可能になる。Power Systems上でHANAを利用した場合、これまで1時間かかっていた処理をわずか数分で完了するといった検証結果も出ている」(朝海氏)とした。

 Power System E850以上のモデルに搭載されるCoDを活用することで、導入時には最大容量メモリを搭載しながら、必要な時に必要な容量だけを活用できるため、最小限の投資で迅速にシステムを実装できるという。

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