ワコール、教育用テキストやカタログをWindowsタブレットで電子化

NO BUDGET

2015-05-19 06:30

 ワコールは、販売戦略の見直しの一環として、「ビューティーアドバイザー」と呼ぶ販売員の組織改編と教育改革を進めており、その施策の一つとして、これまで紙で制作・配布していた教育用テキストやカタログをWindowsタブレットを使ったシステムで電子化、自立的な学習環境を構築した。日本マイクロソフトが5月18日、ユーザー事例として掲載した。

 ワコールでは従来、商材ごとに異なる営業担当や販売担当が、顧客に対しバラバラにアプローチしていたため、各担当者がワコールの商材全体を理解している必要はなかった。

 しかし生産性を高める新たな販売戦略のために、自社のあらゆる商材を使って横断的にビジネスができる営業体制および販売体制を整備し始めるにあたり、ビューティーアドバイザーにも、新たなスキルが求められるようになってきた。

 例えば、下着売り場に来た顧客に対し、必要に応じて他の商材を紹介できる能力や、ショップ作りや売り場展開、イベント企画について、得意先(テナントとして関わる百貨店など)と直接交渉や商談ができる能力も必要とされるようになっているとのこと。

 この能力を身に付けさせるために、教育体制の見直しが行われた。これまでは教育用テキストやカタログを紙で制作、配布し、集合教育を行っていたが、トレーナーの数が少なく、各ビューティーアドバイザーの個性を見極め、伸ばしていく指導は困難だった。

 こうした課題に対し、タブレット端末の提案があったことから、同社では具体的な検討を開始し、複数社の提案の中から、単なる接客専用ツールでなく接客への活用までを見据えた教育ツールとしての案を採用した。

 採用されたのは、Windowsタブレットとソリマチ技研のサービス「UNITE-R2 セールス コンシェルジュ」を組み合わせたシステム。ソリマチは、もともと接客ツールとして開発した同製品を教育ツールとして改良し、提案したという。

 特にコンテンツ管理の仕組みを強化しており、教育用テキストとカタログを電子化してタブレット上で閲覧できるようにするとともに、使い慣れたExcelでコンテンツのレイアウトからデータ管理まで行える環境を用意した。

 ワコールでは、新たなシステムの完成を受けて2月初旬にWindowsタブレット活用の説明会を実施し、首都圏の主要店舗にWindowsタブレット65台の活用を開始した。

 いつでもどこでも最新の商品情報にアクセスできる環境が整ったことで、集合教育にかけていたコストや労力が大幅に削減されるのはもちろんのこと、習得した商品知識を接客時の訴求力や表現力の向上に役立てるなど、さまざまな効果が見込まれている。

 また、コンテンツが想像以上に美しく表現できていたことから、自学の用途を超えて、接客に活用する店舗も出始めているという。

 1年半程度をかけて国内の百貨店約240店舗にWindowsタブレットを導入していく計画で、導入が完了すれば、百貨店のビューティー アドバイザー約1000人に対し、約3人にWindowsタブレット1台の割合で配置されることになる。今回のシステムはMicrosoft Azure上に展開しているため、こうした利用拡大にも柔軟に対応できるという。

 同社では今後、販売力の底上げにつながる有効な仕掛けを作り上げるべくPDCAサイクルを回しながら改善を重ね、情報の持ち方や活用のあり方を根底から見直すプロセスを進めていく方針。例えばSharePoint Onlineと連携しオンライン上で確認テストを実施、集計する形で学習状況の追跡調査を行うなどしている。

 また、SharePoint Onlineで新たな情報共有基盤を構築し、店舗間の横のコミュニケーション手段として運用を開始した。各店舗のノウハウや成功事例をリアルタイムに共有できるだけでなく、店頭に立っているビューティー アドバイザーの生の声が、本社にもリアルタイムに届くようになったという。


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