無許可のクラウド導入が増加--あるべき姿を模索するIT部門

Matt Asay (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 川村インターナショナル

2015-05-22 06:45

 IT部門には同情せずにいられない。かつて企業の絶対王者だったIT部門を、事業部門が素通りして作業を進めることも珍しくなくなった。こうした事業部門の「犯行」によく使われるのが、クラウドだ。

 確かに、Brocadeの新しい調査で、83%の企業が無許可でのクラウド導入に怒りを表明していることが明らかになったが、Amazon Web Services(AWS)幹部のGlenn Gore氏が断定するように、「クラウドを使わないのは重力に逆らうようなものだ」というのが現実である。

 つまり、確実に失敗する、ということだ。

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重力に逆らう

 RedMonkのアナリストであるStephen O'Grady氏はかつて、クラウド導入に関して言えば「便利さに勝るものはほとんどない」と宣言した。そう考えると、開発者がForresterに対して、クラウドを採用する最大の理由は「仕事を片付ける最速の手段」であることだと語ったのも、無理からぬことだ。

 むしろ、速さを好む傾向は、この調査の実施後にさらに加速している。しかし、そうしたIT部門を回避する導入方法を誰もが快く思っているわけではない。

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 確かに、Brocadeが世界の最高情報責任者(CIO)200人を対象に実施した新しい調査で、90%の企業が何らかのクラウドコンピューティングを導入していると回答したが、83%の企業が無許可でのクラウド導入があったことを認めている。これらの企業の3分の1はIT部門の許可を得ずにクラウドを導入することを禁じているにもかかわらず、だ。

 もちろん、この調査は、CIOがビッグデータよりセキュリティに関心を持っていることを示しているため、イノベーションの最前線に入り込んでいるようには思えない。

 あるいは、CIOは何か問題が発生したときに責任を問われることを懸念しているだけなのかもしれない。BrocadeのMEMA(中東、地中海、アフリカ)担当リージョナルディレクターを務めるYarob Sakhnini氏が指摘するように、無許可でクラウドを導入する人々は、「万事うまく運んでいる間は喜んでIT部門を素通りする。しかし、こうしたシャドーITサービスのパフォーマンスや可用性が期待に添わなくなれば、即座にCIOに厳しい質問が浴びせられる可能性が高い」(Sakhnini氏)

 もっともな指摘だ。しかし、それは重要なことではないのかもしれない。

不可抗力

 結局のところ、こうした企業の83%は自社のCIOの考えを気にしていないようだ。ただ作業を処理したいだけで、明らかにIT部門のことを助力者というより障害物とみなしている。これは必ずしも事実ではない。

 事業部門内で発生するプロジェクトは増加傾向にあるが、大半の企業は今も、IT部門がテクノロジ導入で重要な役割を果たす方法を見つけようとしているのが現状だ。

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