トップインタビュー

未来へのビジョンを売る--セールスフォースの小出CEO

吉澤亨史 怒賀新也 (編集部) 山田竜司 (編集部)

2015-06-11 06:30

 日本でも浸透が進むセールスフォース・ドットコム。米Salesforce.comも日本市場を特別視しており、日本独自の展開も多いという。今回は、最高経営責任者(CEO)に就任し2年目を迎える小出伸一氏に、同社の取り組みや特徴、戦略など聞いた。

――エンタープライズITの潮流をどう見るか。


セールスフォース・ドットコム 最高経営責任者(CEO) 小出伸一氏

 大きく変化していますよ。1960年代の高度経済成長期に、生産性の向上や効率化を目指して、企業経営にコンピュータが活用され、80年代には、PCやインフラとしてのインターネットが登場。法改正や通信の自由化があり、コンピュータが企業から個人にも入ってきました。2000年以降になると、IT、ICTの社会インフラ化が大きな流れになり、そこではじめてInternet of Things(IoT)、やInternet of Everything(IoE)が生かせるようになり、それらを支える基盤としてのクラウド化という大きな変化が起きています。それは、工業社会を知識社会に変えたという認識です。これまでの工業社会では、過去の歴史を見ていれば将来の予測ができました。他国のベストプラクティスを持ってくれば成功できたわけです。

 しかし、知識社会になった瞬間に、今までの経験が活かせず、自分で戦略を考えなければならない社会でになりました。そのなかで、コンピュータの位置づけが、変わってきていると思います。クラウドやモバイル、IoT、IoEなどの世界は、私たちの予想もできない、今までの経験ではないところから生まれてきており、同時にICTと言われる領域が変わってきていように感じます。

――企業のIT部門のあり方、考え方も変わってくるか。

 企業のIT部門は、昔はエンドユーザーからの依頼に対して、何かを作り込んで提供する工場のような部門という認識が一般的だったと思います。しかし今後は、「こういうことをやれば新たなビジネスモデルを生むことができる」などと、積極的に発信する側になって経営戦略の一部を担っていく部門に変わっていくと思っています。

 最近では、最高情報責任者(CIO)を経験してCEOになる――つまり、「営業経験者が社長になる」という今までの典型的な人事の流れの中に 、ITを経験したCIOがCEOになるという新しいキャリアパスが生まれてきています。フィリップス(Jeroen Tas氏)や(頭取候補をCIOに就かせている)三菱東京UFJがいい例ですね。この流れは、ITの位置づけが上がってきているためであり、これまでの違いだと思います。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

自社にとって最大のセキュリティ脅威は何ですか

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]