攻める情シス

「攻めのデータ活用」で発揮される情シスの存在意義とは

田村浩二

2015-06-24 06:00

 前回は、顧客の個人情報をめぐる業務部門と情報システム部門(情シス)のせめぎあいの例をみながら、目的の共有なくして攻めの協業はあり得ないこと、そして、具体的な協業に向けた考え方の一つとして「リファレンスアーキテクチャ」を持つことを提言した。今回は「データ活用」について、実務視点でもう一歩踏み込んで解説する。

売り上げと利益の最大化は、全社の命題

 通常、売り上げと利益に責任を持っている部門はどこかと問えば、その答えは事業責任を負っている業務部門だ。読者の所属する企業でも、「情シス部門もそのミッションを担っています」と胸を張って言える企業は多くないはずだ。

 消費者向け、法人向けに関わらず、事業が売り上げを上げるためには「顧客数」と「顧客あたりの取引数」そして「取引あたりの金額」のそれぞれの数を増やすことが必要となる。あわせて利益率を上げるためには、「販売管理費」や「売上原価」を抑える必要がある。

 これまで、企業は主に会社全体の業務効率を上げてコストを抑え、利益率を高めるツールとしてITを活用してきた。そしてそれを主導してきたのは情シスだ。しかしInternet of Things(IoT)やInternet of Everything(IoE)の時代が到来した今は、業務部門が事業の売り上げを上げるために、自ら最適なテクノロジを活用しようと取り組んでいる。

 特に「ビッグデータ」という言葉が登場して以来、「持っているデータは活用しなければ」というIT業界の掛け声のもと、エンタープライズ向けのデータウェアハウスやデータマイニング、ビジネスインテリジェンス(BI)などの製品導入し、「分析の高度化」にチャレンジしている企業も多くなっている。

 しかし当然ながら、どんなに一生懸命分析の精度を上げても、社内で腕組みをしてデータから見える戦況を見つめているだけでは、競争環境の中では勝てない。分析結果に対応した「アクション」がなければ、売り上げも利益も上がることはないからだ。

 外部環境の思いがけない好転に恵まれるケースはさておき、本来的には、潜在顧客と既存顧客に対する地道なアクションが継続できなければ、業績は上がらない。これは企業の中で、どの部門が売り上げと利益の目標を担っているかという議論とは関係ない話であり、全社を挙げて取り組むべきテーマだ。

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