日本IBM、「PureApplication」ソフト新版--VMwareの仮想環境で稼動、Chef対応

大河原克行

2015-06-18 07:30

 日本IBMは6月17日、ソフトウェア「IBM PureApplication Software V2.1」の提供を開始した。企業アプリケーションの短期導入とハイブリッドクラウド環境の構築を支援するという。

 IBMでは、2012年4月に垂直統合型システム「IBM PureApplication System」を発表。2014年6月にクラウドサービス「IBM PureApplication Service on SoftLayer」を発表してきた経緯がある。従来のPureApplication Software V2.0はライセンスだけでの提供だった。

 今回のPureApplication Software V2.1は、共通で利用可能なパターン技術を提供。アプリケーションプラットフォームの迅速な構築と効率的な運用管理を実現するという。

オンプレミスでは垂直統合型システムのPureApplication Systemとx86サーバのPureApplication Softwareで、オフプレミスではPureApplication Serviceでパターンを活用できる
オンプレミスでは垂直統合型システムのPureApplication Systemとx86サーバのPureApplication Softwareで、オフプレミスではPureApplication Serviceでパターンを活用できる
小島賢二氏
日本IBM IBMシステムズ・ソフトウェア事業部 アプリケーションプラットフォーム・テクニカルセールス部長 小島賢二氏

 「自社の仮想化環境でパターンデプロイメントを実現。サードパーティー製のクラウドとしてMicrsoft Azureもサポートする」(IBMシステムズ・ソフトウェア事業部アプリケーションプラットフォーム・テクニカルセールス部長の小島賢二氏)

 アプリケーション実行環境として、VMwareが稼働するハードウェアをサポートする。既存ハードウェア上で稼働するVMwareに対して、PureApplicationのシステム自動構築技術の“パターンデプロイメント”やワークロードとライフサイクルを管理する機能を提供。アプリケーションの実行環境の選択肢が広がることで柔軟なハイブリッドクラウド環境を構築できると説明する。

 小島氏は、「IT予算の70%がシステムの維持に使われている。しかし、クラウドを活用しているユーザーが85%に達しているという現状もあり、クラウド化が進展している。その一方で、案件やシステムごとに個別に設計している企業が多く、ミドルウェア製品の導入が手作業で行われていたり、特定の担当者へのスキルレベルに依存したりしているなどの問題がある。クラウド化しても、20年前と何も変わらない状況が生まれているのが実態」と現況を解説した。

 「こうした課題を解決できるのがPureApplication。パターンのなかに共通的な項目をまとめて標準化を進められるほか、パターンからできあがったものをベースに仮想化システムを自動構築できる。パターンは、フランチャイズ方式のチェーン店展開に似ており、システムの構築ノウハウをパターンにパッケージングして標準化、自動化が可能になるものだ。簡単、迅速に横展開できる」と小島氏はパターンの優位性を説明した。

 みずほ銀行はプライベートクラウド基盤として「IBM Power Systems」を導入。プライベートクラウド環境のプロビジョニングに、システムイメージ管理のほかにリソース管理、構成を自動化するパターンを盛り込むために「IBM Workload Developer(現IBM SmarterCloud Orchestrator)」を採用している。

 基準を満たした設定済みのシステム基盤をクラウドで配付できるようになり、システム基盤構築に従来2カ月かかっていたが、2~3日に短縮できるようになっている。

 ふくおかフィナンシャルグループは、顧客情報管理(CRM)システムの基盤として垂直統合型システムの「IBM PureFlex System」を導入している。同グループのCRMは33種類のアプリケーションで構成されており、このアプリケーション環境をPureFlex System上に展開するための作業を自動化するためにWorkload Developerを活用している。傘下の3行への展開も含めて、約1年でアプリケーション環境を展開できたという。

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