個々のクラウドの持ち味を生かしてアプリを構築、運用せよ:テラスカイ

日川佳三

2015-07-10 07:30

 「クラウドの先に何があるのか。複数のクラウドを組み合わせるハイブリッドクラウド、クラウドERP、IoTの3つの視点を持っている」――。テラスカイで代表取締役社長を務める佐藤秀哉氏は7月9日、同社のプライベートイベント「TerraSky Day 2015-クラウドの先に何がある?-」の基調講演に登壇し、これからのクラウドの姿を提示した。

 後半では、クラウドの当事者である3社が登壇。ユーザー企業の三菱UFJニコスは、クラウドによって可能になる自社システムの展望を示した。会計監査法人のプライスウォーターハウスクーパース(PwC)は、クラウドによって仕事がどう変わるかを示した。クラウドベンダーのセールスフォース・ドットコムは、すべてのアプリケーションがクラウドに乗る将来像を示した。

 テラスカイの佐藤氏が「クラウドの先にあるもの」として挙げた3つの視点は、(1)「ハイブリッドクラウド」(複数のクラウドを組み合わせること、マルチクラウド)、(2)「クラウドERP」(業務パッケージがクラウド型の提供へと移行すること)、(3)「IoT」(ビッグデータの蓄積と分析がクラウドによって可能になること)――である。

佐藤秀哉氏
テラスカイ 代表取締役社長 佐藤秀哉氏

SalesfoeceとAWSを組み合わせたクラウド

 (1)について、ハイブリッドクラウドの時代にはインテグレーターの力量が問われると佐藤氏は言う。複数のクラウドを組み合わせることを前提にクラウド活用のコンサルティングからアプリケーションの開発や実装、運用までのライフサイクルをフルにカバーすることが求められる。インテグレーターが運用を手がけることで性能のアドバイスが可能になる。

 佐藤氏は、同社が構築を運用を手がけるクラウドサービスとして、Salesforce.comとAmazon Web Services(AWS)の強みを示した。Salesforce.comについては、2008年にForce.comを開始するといった機能拡張の歴史などに触れ、「進化を止めない企業だけが生き残る、という言葉を体現している」と評価。AWSについても、多くの機能拡張を施してきており、独自にデータベース管理システム(DBMS)を実装するにまで至っていると評価した。

 もともとテラスカイはSalesforce.comのクラウドに特化していたが、2013年にAWS市場に参入した。「SalesforceをAWSで補完する」など、2つのクラウドを組み合わせてベストな解を見出す狙いがある。AWS市場への参入にあたっては、AWSに強いサーバーワークスに出資。さらに、運用フェーズをカバーするためにAWSの運用を代行するSky365を共同で設立した。

業務パッケージがクラウド型へ移行、ビッグデータも普及

 (2)では、クラウドERPが今後のクラウドの潮流であると佐藤氏は言う。「かつての業務パッケージは、オフコンからC/S(クライアントサーバ型)へと移行した。現在は、C/Sからクラウドへと移行している」(佐藤氏)。同社が導入を手がけるスーパーストリーム(旧エス・エス・ジェイ)の会計ソフト「SuperStream-NX」などがこうした例の1つという。

 C/Sからクラウドへの流れは、会計ソフトだけでなく統合業務ソフトであるERPにまで広がっているという。販売、会計、帳票出力までクラウドだけで可能になっている。例えば、グロービアインターナショナルの受発注管理ソフト「GLOVIA OM」(オーダーマネジメント)は、Force.com上で構築されている。SAPのアプリケーションも各種クラウドで提供されており、ワークスアプリケーションズの「COMPANY」もAWS上で提供されている。

 (3)について、IoTは大きく言うとクラウド市場であると佐藤氏は説明。「クラウドが進化することによってIoTが身近になる」とした。さまざまなデータソースからデータを収集、集計してAWSのクラウドに蓄積し、Salesforce.comのクラウドで分析、可視化するといったシナリオを描く。電力情報を集計して電気料金を削減するビル電力管理システム(BEMS)などの事例が続々登場するとした。

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