Microsoft WPC 2015

サティア・ナデラ流マイクロソフトの舵取り--WPC 2015開幕

怒賀新也 (編集部)

2015-07-14 10:28

 米Microsoftは米国時間の7月13日、年次のパートナー向けカンファレンス「Worldwide Partner Conference 2015」をフロリダ州オーランドで1週間の予定で開幕させた。

 売り上げの実に92%がパートナーを経由とも言われることもあり、同社にとって、年間通じて最も重視するイベントとしていわれる。世界の130カ国以上から1万5000人以上、日本からも150社を超えるパートナー企業の400人以上が参加する大規模なイベントとなった。


Satya Nadella氏

 最高経営責任者(CEO)Satya Nadella氏が登壇した初日の基調講演では、機械学習を交えてさまざまなデータを活用するシステムを構築する「Cortana Analytics Suite」を発表した。クラウドを用いたビッグデータと機械学習環境と、画像認識や顔認識、音声分析といった認知技術を組み合わせる。

 時速800マイルという超高速自動車の開発において、6万に上るセンサから大量のデータを収集し、次にするべき行動をCortanaが教えてくれるというデモを紹介した。

 Cortana Analytics Suiteは、今年の秋に月次サブスクリプションとして利用できるようになる。

 また、ホログラフィック技術を用いることにより、目の前にあるオートバイの配色デザインなどを自在に再現するデモ(下記動画)なども披露して見せた。Windows 10ベースの完全独立型のホログラフィックデバイスという「HoloLens」を用いたもの。設計や建設の専門家、NASAのJet Propulsion Laboratoryにおける火星探査作業でも利用している。

 Nadella氏は「デバイス、アプリ、人間の間にあった壁を取り払う」と強調。ホログラフィック技術については「コンピュータの使い方をひっくり返すもの」と表現するなど、新たな技術が近未来的なビジネス像を変えていくことを強調している。Windows 10の説明もあったが、脱Windowsを標榜するNadella氏の独自色が見えた基調講演となった。

 また、同氏が「生産性とビジネスプロセスを再発明する」として発表したのが「Project GigJam」。従業員は、GigJamを使って業務アプリケーションとSaaSから情報を収集し、業務遂行に情報や作業内容を簡単に把握できるという。

 離反の可能性が高い顧客を、従来では難しかったデータの組み合わせにより特定し、特別な割引プログラムを提供することなどにより、引き留めたというデモを実施した。

 「デバイス、アプリ、人々の境界を越えて業務遂行とビジネスプロセスの変革を実現するまったく新しい方法を提供する」と強調している。

 このほか、Office 365のプレミアム版として「E5」と呼ぶエンタープライズスイートの提供を、年末に開始することも明らかにした。

 E5は、従来の中核機能に加え、Cloud PBXやMeeting BroadcastといったSkype for Business向けの新サービス、Power BI Pro、Delve Organizational Analyticsなどのアナリティクス機能、eDiscovery、Customer Lockbox、Advanced Threat Protectionなどのセキュリティ機能などを提供する。

 さらに、世界から集まったパートナー企業向けに、「Microsoft Cloud」で利益率の高いクラウドサービスをパートナーが自ら構築し、拡張できるCloud Solution Provider(CSP)プログラムを強化した。

 7月13日からCSPの対象地域を拡大。合計で131市場で利用可能にする。また、Office 365、Windows Intune、 Enterprise Mobility Suite(EMS)に加え、AzureとDynamics CRM OnlineもCSPの対象にする予定と伝えた。

 追って、現地からWPC 2015の様子を伝える。

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