今週の明言

富士通が説く「電子カルテの先にある未来」

松岡功

2015-07-17 12:06

 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、富士通の佐藤秀暢 公共・地域営業グループVPと、ブラザー工業の松本勇美夫 常務執行役員の発言を紹介する。

「新電子カルテシステムを第1ステップとしてヘルスケアICT基盤を整備していきたい」
(富士通 佐藤秀暢 公共・地域営業グループVP)


富士通 公共・地域営業グループVP 佐藤秀暢氏

 富士通が先ごろ、大規模医療機関(300床以上)向け新電子カルテシステム「FUJITSUヘルスケアソリューションHOPE LifeMark-HX」を販売開始したと発表した。同社の公共・地域営業グループVPでヘルスケアビジネス推進統括部長を兼務する佐藤氏の冒頭の発言は、その発表会見で、新電子カルテシステムを手始めとした「ヘルスケアICT基盤」の整備に注力することを語ったものである。

 新システムは同社がこれまでの電子カルテシステムで提供してきた機能を継承しつつ、開発言語やデータベースを含むすべてのシステム構造を一新するとともに、クラウドサービスへの移行も容易なウェブアプリケーションに刷新。スマートデバイスにより、院内のどの場所でも利用できるため、病棟での回診や患者とその家族へのインフォームドコンセントに活用するなどの新しい診療スタイルを実現するとしている。

 新システムの詳しい内容については関連記事を参照いただくとして、ここでは佐藤氏が語ったヘルスケアICT基盤の構想に注目したい。

 佐藤氏によると、富士通は1999年に国内初の病院向け電子カルテシステムの納入実績を上げて以降、同市場をけん引してきたという。2013年12月には「未来医療開発センター」を設立し、ICT利活用による健康増進、重症化予防、疾患の早期発見、新薬創出、個別化医療などの実現に向けた取り組みを開始。

 そうした活動を通じて、現在の医療や介護、健康分野におけるヘルスケア情報を未来に役立つものにするためには、それらを活用できる形で集約したヘルスケアICT基盤の整備が必要であるとの考えに至ったとしている。


富士通が考えるヘルスケアICT基盤の全体像(出典:富士通の資料)

 図に示したのが、同社が考えるヘルスケアICT基盤の全体像である。同社ではこのヘルスケアICT基盤を「Healthcare Information Suite」と名付け、佐藤氏が語ったように今回の新電子カルテシステムをその実現に向けた第1ステップと位置付けている。今後は図にあるように、クリニック向け電子カルテシステム、介護支援システム、健診システムへと領域を広げていく計画だ。

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