Windows 10は企業にとってもわかりやすいOS:日本マイクロソフト平野社長

大河原克行

2015-07-30 13:52

 7月29日から「Windows 10」がリリースされた。日本マイクロソフトは同日夜に記念ファンイベントを開催。イベントに登場した同社代表執行役社長の平野拓也氏に話を聞いた。

変革の象徴

――Windows 10の提供が始まった。

 7月1日に社長になってからわずか1カ月でWindows 10というマイクロソフトにとってフラッグシップの製品であり、マイクロソフトの変革の象徴ともいえる製品のローンチに立ち会うことができてうれしい。

 予約数やダウンロード数については、数日経たないとと数字が出てこないだろう。ただ、予約開始時に想定した数をはるかに超えているということは聞いている。それによって帯域を広げたりしなくてはならなくなったという話も聞いている。最初の反応はかなりいい形になっていると認識している。

 ステージに出てみて、ファンの熱さにびっくりした。普段は法人ユーザーが対象であり、ネクタイとスーツの方々が多いので、ファンが盛り上がっているのをみて、うれしいですね。

平野拓也氏
日本マイクロソフト 代表執行役社長 平野拓也氏

――法人ユーザーからとどんな期待の声が上がっているか。

 セキュリティがかなり強化されているので、その点に対する期待は大きい。また、Windows XPのサポート終了後、まだ乗り換えられていないお客様もいる。そうした方々にとってもWindows 10は最適である。さらに、クラウドとの親和性も高いOSであり、クラウドへの移行を検討している企業にとっても関心が高いOSだといえる。

 Windows 10といっても、今後大きなローンチがあるわけではく、継続的にアップデートするので、その点でもこれまでとは違う。従来のように、次のバージョンでマイグレーションする方がいいといったような発想は必要なくなるので、企業ユーザーにとっても、わかりやすいものになり、企業ユーザー自身の最適なタイミングで新たなOSに移行してもらえる。そこに期待している。

 今回のWindows Insider Programを実施したが、これはいろいろな点でプラスになる。コアなユーザーに使ってもらって、その経験をもとにベースとしている。その手順に従って、ユーザーとコミュニケーションできる。さらに、今秋にはOEMですばらしいデバイスが登場する。ダウンロードではなく、今まで同じような買い方も出てくる。この日に集中して一気に何かをやろうというわけではないので、コミュニケーションのサイトを活用して、丁寧にやっていく。確かに勝手が違うというところはあるが。

 新機能は年に数回、セキュリティについては月1回というのがひとつの目安になってくると思う。リズムを持って、アップグレードしていくことになる。

 どのぐらいのユーザーが新たなOSへ移行するのかといった目標を持って進んでいくが、公表できるものはない。

――地方銀行などを中心にWindows 10に搭載されているMicrosoft Edgeが動作確認できないとして、利用しないことを求めているが。

 大手銀行がWindows 10に対する知識や期待値、企業の体質もあるが、それぞれのポリシーもあるが、製品の堅牢性、互換性はこれまでのWindowsよりも高い。懸念を持っている会社とは個別に相談をさせていただき、安心してもらえるように対応していきたい。喜んで使ってもらうのが今回のミッションであり、多くの方々に喜んで使ってもらうためのガイダンスと、お手伝いをしっかりしていきたい。

 銀行側では互換性を重視しているので、IE(Internet Explorer)11も搭載している。Windows 7/8で利用できているものは、IE11を利用すればそのまま使えると考えてほしい。銀行によって、検証してからでないと担保できないということもある。いま、営業部門が対応している。積極的にコミュニケーションしたい。

 銀行からそういうメッセージが出るのも当然である。確認して安心してもらいたいと考えている。

 開発者にはユニファイドプラットフォームのベネフィットをとことん使い倒してほしい。Windowsは、PCではリーダーだが、デバイス全体ではチャレンジャーだから、成長の可能性とビジネスチャンスがある。ボイスやジェスチャー、今までにはないアプリケーションの可能性があるので活用してほしい。

 ユーザーとの接点の考え方は、Windows Insider Programが象徴だが、Window as a Serviceを実現するにはお客様の声をどんどん聞いていく必要がある。それを反映させることが大前提。OEMメーカーからのすばらしい指摘もある。この経験は生かしていく。

 ユーザーの距離は縮まっていく。喜んで使ってもらうためにはユーザーの声を聞かないといけない。この機能がいいから使ってほしいというアプローチではなく、こうしたものを使いたいという声を生かしたい。

――Windows Phoneについてはどうか。

 ユニファイドプラットフォームになるので、Windows Phoneをゼロシェアから出すメリットもあると言える。メーカーと会話しているので、その中で盛り上げたい。

――国内ではWindows PhoneやXboxには魅力がなく、ユニバーサルプラットフォームのメリットが限定的になると感じられるが。

 Windows Phoneのマーケットシェアがあれば、ユニバーサルプラットフォームのメリットも伝わりやすい。今後は作っていく市場。ある程度のスケールになれば、法人にもWindows Phoneが入りやすい。今後、デバイスという考え方がPC、タブレット、スマホの3つだけなのか。もしくはウェアラブルも出てくる。HoloLensやSurface Hubのようなものも出てくる。デバイスのパターンが広がる。いろんなチャンスが出てくる。Windows Phoneを含めて出てくる。

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