ネットワークセキュリティの要諦

2億超のサイバー攻撃にどう対応するのか--2020年の東京五輪とIoT

羽生信弘

2015-08-03 07:00

 さまざまなものがネットワークに接続するIoT(Internet of things)やM2M(Machine to Machine)が普及し始め、社会インフラにも組み込まれるなど非常に重要な役割を果たすようになってきました。

 2020年の東京五輪ではIoT/M2Mが多くの場面で使われることになります。また、政府機関や電力会社、金融会社など重要インフラをサイバー攻撃から守るためのサイバーセキュリティ基本法が成立され、今後はより一層IoT/M2Mに対するセキュリティが求められていきます。

 今回は、IoT/M2Mがどのように使われているかを解説するとともに、2020年に向けてIoT/M2Mに必要となるセキュリティ対策について解説していきます。

さまざまな場面で使われるIoT/M2M

 IoT/M2Mの技術は、ウェアラブル端末やスマート家電などのコンシューマー向け製品に加え、定義によっては工場設備や医療機器やビル設備、社会インフラも含まれ、現在、非常に多くの業界で使用されています。

 コンシューマー向けのウェアラブル端末やスマート家電では、各製品がセンサとして動作し、大量の情報を中央システムに収集して分析することで、体調面や住環境面で利用者にとって有益な情報を伝えるサービスの提供が始まっています。これらは、高齢社会を支える重要な技術とも言われています。

 また、製造業の工場設備や電力・水道などの社会インフラでは、以前より産業制御システム(SCADA)や危機対応システム(ICS)で工場や施設の設備に付いているセンサからの情報を収集し、各設備を制御することで、効率化や安定化を図ってきました。これらのインフラでは、今後インターネットやクラウドサービスとのつながりがより一層強くなります。

 例えば製造業では、工場内だけでなく、自動車や飛行機などの実際の最終製品から運用状況や故障などの情報を収集することで、製品開発に活用し、生産効率の向上につなげる取り組みが始まっています。また、製品の利用者は、メンテナンスの依頼や料金の支払い、運行情報の入手などのさまざまサービスをクラウドやスマートフォンと連携できるようになります。

 IoT/M2M化が進むにつれて、これまで個々に動作することを前提に作られていた製品や設備には、新たにネットワーク接続機能や集中管理システムが必要になります。その実装においてセキュリティ対策の後回しが懸念されます。ネットワーク接続は製品がもつ1つの機能にすぎませんが、一旦サイバー攻撃の被害にあうと、ネットワーク機能だけでなく製品そのものの販売停止やサービス停止を招きます。

 企業や組織は、一時的な売り上げだけでなく、信用は失墜し、多くの代償を払うことになります。そのため、ネットワークの相互接続が加速するIoT/M2M化の中ではサイバー攻撃へのセキュリティ対策が非常に重要なものとなります。

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