調査

IoT利用率は4.9%、製造/資源で6.7%--社内用途が9割:IDC調査

NO BUDGET

2015-08-27 13:50

 IDC Japanは8月26日、国内の“モノのインターネット(Internet of Things:IoT)”市場の企業ユーザー動向調査結果を発表した。ウェブアンケートで回答した6906社のうち、IDCの定義するIoTを利用している企業(IoT利用企業)は340社、利用率は4.9%となった。

 IDCでは、IoT利用企業の産業分野を4つのセクタに分類している。このうちIoTの利用率が最も高いのは製造/資源(利用率:6.7%)で、このセクタでは、組立製造/プロセス製造分野を中心にさまざまな組込機器が古くから活用されてきていることが関係している。ほかの3つのセクタでの利用率は、流通/サービスが5.0%、公共/インフラが3.2%、金融が1.3%とった。

回答企業に占めるIoT利用企業の割合
回答企業に占めるIoT利用企業の割合(IDC提供)

 IoTの利用用途別に見た場合、自社で保有する産業機器の稼働状態の見える化や故障検知など「社内用途」がIoT利用企業の回答の9割を占め、また顧客の保有する産業機器のリモート管理や制御、顧客分析やマーケティングなどといった「社外用途」はIoT利用企業の回答の3割程度だった。

 事業者側の立場で考えると、組込機器を多用する産業分野向けのIoT導入は一巡しつつあるのに対し、今後は組込機器との親和性がそれほど高くはない、ほかの産業分野に対し関心が高まると見込まれる。また分析技術の急速な発達に伴い、IoT利用企業が社内用途と社外用途の双方で、さまざまな付加価値を生み出すことが競争を勝ち抜く上では必須になってくる。IoT利用企業の課題の一つである「IoTを利用する上での情報セキュリティ上の懸念」は今後一段と強まることが予測できる。

 同社コミュニケーションズ マーケットアナリストの鳥巣悠太氏は、「IoT事業者は、新しい産業分野の顧客を開拓する上で、各産業分野に特化したシステムプロバイダーやコンサルティング会社と提携していくことが重要になる」とし、「顧客がIoTでいかに収益を高めるかを最優先に考え、その上でいかにほかの事業者よりも多くのトライアンドエラーを繰り返すかが鍵になる」とみている。さらに「“セキュリティレディ”な状態でのシステムの提供、顧客へのセキュリティリスクに関する啓発活動を積極的に展開することが重要になる」とコメントしている。

 調査は5~6月に全国の従業員規模100人以上の企業を対象とし、IoTの利用動向に関する定量調査(ウェブアンケート)と定性調査(個別の対面インタビュー)として実施された。

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