NTTドコモ、全契約回線向け課金および決済のトラフィックDWHを刷新

NO BUDGET

2015-08-28 07:15

 NTTドコモは2015年2月、課金および決済システムのトラヒック情報を扱う「トラヒックデータウェアハウス」(トラヒックDWH)を刷新、稼働を開始した。顧客サービス向上に向けた6600万件を超える契約回線の課金データの迅速な分析と活用が実現した。さらに、コスト構造の改革や、刻々と変化する経営ニーズに応える柔軟な情報基盤の整備を進めている。製品を提供した日本マイクロソフトが8月27日、ユーザー事例として公開した。


MoBillsにおけるトラヒックDWHの位置付けのイメージ図(マイクロソフト提供)

 トラヒックDWHは、ドコモの回線利用者の課金と決済を担う料金システム「MoBills(モービルス)」のバックエンドにあり、6600万件を超える全契約回線の利用情報を集約する機能を担っている。同社の全国約20部門が利用し、1日あたりのトラヒック情報は十数億件にも上る。

 このDWHは、これまで異なる会社のDBとBI製品の組み合わせで構成し、その上に業務アプリケーションを構築して運用していたが、年を経るごとにさまざまな問題が浮上してきていた。

 ユーザー部門からは検索やダウンロードが遅いといった利便性の面での指摘が挙がっていたほか、定期的に開発する上での効率やコストの問題もあった。例えば、1つの帳票データの出力フォームに変更が生じた場合、見た目の変更箇所自体は小さくても、アプリケーション全体にわたる改修が必要で、開発と改修コストの高止まりが続いていたとのこと。

 今回のトラヒックDWH更改プロジェクトは、こうした問題を解消すべく、2014年1月に開始し、4月には新たな基盤製品として「Microsoft SQL Server 2014」の採用を決めた。決め手となったのは、パワフルな検索機能やコストパフォーマンスの高さ、保守料金メニューの柔軟さ(金額固定でなく従量制も選択できること)などだった。

 12月には旧システムと新システムとの突合テストを実施、品質を確実に担保していることを確認して、今年2月に運用を開始した。あえて2カ月を費やして帳票レベルでの入念な検証を実施したことにより、短期間で品質の高い成果を実現したとのこと。

 新たなトラヒックDWHは、規模の点でもミッションクリティカル度においても、SQL Serverを導入するシステムとしては国内有数のDWHとなった。

 今回の更改によるメリットとして、まず挙がるのは定期開発のコストが大幅に削減したことだという。具体的には、SQL Server 2014のカラムストアインデックスによる検索を活用することで、旧トラヒックDWHでは不可能だった大量のデータを高い性能で検索できるようになり、これまでのような多段処理が不要になり、それらの中間テーブル作成に必要だったアプリケーションの大部分が不要になった。

 それにより、中間テーブルとアプリケーション資材の数を従来に比べて3~4割まで削減し、それらのメンテナンスコストも従来比約20%削減した。さらに全体の開発規模が縮小し、構成するテーブル数も減少したため、そこに存在するバグや設定ミスによる故障など、数字に表れにくい部分の維持コストが減少している。

 また、ソフトウェア保守費用は従来比約75%という大幅な削減を実現した。旧DWHのデータベースと分析ツールの組み合わせをSQL Server 2014に一本化した結果、分析ツールなどの別途費用が不要になったこと、従量課金制のプレミアサポート契約を利用して、本当に必要な部分に絞ってのサポート利用が可能になったなど、固定費の大部分を不要にしたという。

 ドコモでは今後、新たなトラヒックDWHの構築経験を生かし、MoBillsをリアルタイムにデータを分析、活用する基盤として、さらに成長させていきたいとしている。また、今回のトラヒックDWHではエンドユーザー向けのフロントにMicrosoftのSharePointを利用しており、ExcelベースのUIが容易に開発可能なことから、社内ユーザーの利便性向上も期待している。

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