ストレージ「HP 3PAR StoreServ」に新製品--遅延を0.5ミリ秒まで設定

大河原克行

2015-09-11 07:00

 日本ヒューレット・パッカード(HP)は9月10日、フラッシュストレージの新製品「HP 3PAR StoreServ 8000」シリーズを発売した。同日から販売している。

 3PAR StoreServ 8000は、4コントローラノードまで拡張できるスケールアウトストレージ。フラッシュメモリだけのオールフラッシュアレイ構成と、ハードディスクドライブ(HDD)をサポートするコンバージドフラッシュアレイ構成を用意。既存モデルに比べてワークロード性能を2倍に強化。データサービスやスケーラビリティを犠牲にすることなく、1ラックあたり5.5Pバイトまでのフラッシュ容量を利用できるという。

 HPストレージ事業統括本部 ストレージマーケティング本部の加藤茂樹氏は3PAR StoreServ 8000の特徴について、「オールフラッシュアレイ環境で3Tバイトの小規模システムから、7Pバイトの大規模システムまで、単一アーキテクチャで提供できるシンプルさを持つ」と説明した。

 「ハイエンドの機能をミッドレンジクラスでも採用した信頼性の高さ、フラッシュに最適化したスケールアウトアーキテクチャによる低遅延の高性能、ダウンタイムを限りなく排除し、安定した運用を実現した復旧力が特徴。他社がソフトウェアデファインドで対応している領域を、HPはシステムデファインドで対応している点も大きな違い」(加藤氏)

3PAR StoreServ 8200
3PAR StoreServ 8200(日本HP提供)

 上位機種である「3PAR StoreServ 20000」シリーズと同じく、特定用途向けIC(ASIC)の「HP 3PAR Gen5 This Express ASIC」を採用。既存製品に比べて帯域幅を2倍にし、予測が困難なワークロードを効率的に処理できるのが特徴という。

 「HP 3PAR OS」も強化された。SANインフラの初期設定をストレージ側から短時間に設定できると説明。遅延(レイテンシ)を0.5ミリ秒まで設定できることから、多数のレイテンシが課題となるアプリケーションを統合するマルチテナント環境で一貫したサービスレベルを維持できるとしている。

 「レイテンシの設定は3PARならではの特徴。“3PAR StoreServ Smart SAN”を提供することでSAN構成設定を自動化。設定手順を80%削減、設定時間を99%削減できる。数時間かかっていたものを数分で設定でき、SAN管理者の負荷を軽減できる」という。

 インメモリデータベースの「SAP HANA」のハードウェアとして利用できる「SAP HANA Tailored Data Center Integration(TDI)」の認定を受けている。「HP 3PAR File Persona」でファイルとブロックのワークロードを単一のティア1フラッシュプラットフォームに統合でき、ミッションクリティカルな環境にも対応できる。日本のユーザー向けにiSCSI機能を拡充しているという。

 そのほか、「StoreOnce Recovery Manager Central for VMware(RMC-V)」を搭載した3PAR StoreServに対するデータ保護機能も強化したという。「個々の仮想マシン、または仮想マシン内の個別のファイルを復元するという柔軟性を持ち、RMC-VとStoreOnceとの組み合わせで17倍速い仮想マシン保護を提供。リモートコピーの機能も強化しており、データリカバリを簡素化している」(加藤氏)としている。

 税別価格は、3PAR StoreServ 8200が200万円、同8400が330万円としたほか、拡張性を持った同8440が590万円、オールフラッシュアレイの同8450が590万円。

 HPストレージ事業統括本部長の山口太氏は、「金融サービスのほかeコマースやアプリケーション統合などフラッシュアレイが活躍する場が広がり、システム全体をフラッシュで構成するという例も一部出始めている。ハードディスクと同等価格を実現し始めたことがその背景にあり、HPは今年、1Gバイトあたり1.5ドルを実現し、価格でもリーダーとなっている」と解説した。

 「フラッシュアレイの実装でキーになるのはソフトウェアの技術であり、3PAR OSは常に変革を続けている。HPは、本当に使えるフラッシュストレージを提供していきたい」とした。

 米本社ストレージビジネスのバイスプレジデントでアジア太平洋と日本を担当するゼネラルマネージャーのPhilip Davis氏は、「ビジネス環境が大きく変化する一方で、技術進化も激しくなり、ストレージの選択肢も複雑化している。だが、ストレージは、ひとつのアーキテクチャにすることが大切であり、それがコストや管理、パフォーマンスを最適化することにつながる」と説明した。

 Davis氏は「HPがフラッシュアレイ市場に参入したのは2013年。あえて遅く市場に参入した。それはかつての状況では、データサービスを取るか、コストを取るかという二者択一しかなかったからだ」と経緯を解説した。

 「だが、HPはデータサービスや他社とのフェデレーション、低価格という3つの特徴を提供でき、正しい時期に正しく参入したと考えている。フラッシュアレイ市場全体では120%の成長となっているが、HPの成長率は1000%となっている。最も成長しているのがHPであり、参入からわずか2年で市場シェアは2位となった。3PAR StoreServは、ミッドレンジフラッシュアレイ製品で第1位となっており、Gartnerのマジッククアドラントでリーダーの立場である」(Davis氏)

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