Snipは、まったく新しいコンセプトのアプリというわけではない。似たような機能を持ったサードパーティーのアプリもたくさんある。例えば、筆者は今までにも、TechSmithの「Screencast.com」や「Snagit」を使用し、同じような注釈作業を何度も行ってきている。しかし、Snipは無償であり、Screencast.comやSnagitは有償である。このことは筆者の考えを大きく変えた。
Microsoftにおける企業文化の変化
Snipの重要な点は、その開発経緯やリリースのされ方にある。MicrosoftのGarageプログラムでは、従業員が自らの職務以外のプロジェクトを実施するよう奨励されている。これによって従業員が実験し、革新し、自らの創造性を養える環境を作るのが目的だ。
Snipのようなベータ段階のアプリを一般提供したのは、アプリ開発に対するMicrosoftの姿勢が変化している表れだろう。Snipは継続的な利益を生み出すかどうか、あるいは利益そのものを生み出すかどうかに関係なくリリースされた。筆者に言えるのは、同社がSnipや、会社の全体戦略におけるその位置付けについて何らかの期待を抱いているわけではないということだ。
MicrosoftはSnipについて、人々が有用だと感じ、より良いものにするためにフィードバックを与えてくれるとうれしい、ちょっといいプログラムだと考えているに過ぎない。約束はなく、期待もなく、見返りを求めてもいない。同社は固苦しいソフトウェア会社という世間の評価から脱却しようとしているのだ。
Snipは、「Office 365」の主なテーマ、すなわち生産性を追求する近代的なワークフォースには共同作業のための優れたツールが必要だとするテーマにも合致している。「Microsoft Edge」や「Sway」、そして今回のSnipといった最近リリースされたアプリを見れば、Microsoftが目指しているものが明らかになってくるはずだ。
簡単かつ効率的にアイデアを伝える方法が必要なのであれば、Microsoftからの答えはSnipになるだろう。そういった点で、Snipが近い将来Office 365の一部として統合されても筆者は驚かない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。