済生会病院、情報系システムを共通化--ネットワーク仮想化でセキュリティ強化

藤本和彦 (編集部)

2015-10-06 15:04

 社会福祉法人恩賜財団済生会支部 福井県済生会病院(福井県福井市)は、医療情報システム用の共通仮想基盤を構築し、8月から稼働を始めている。ネットワンシステムズが10月6日に発表した。

 福井県済生会病院は、460床、23診療科、職員約1200人を有する福井県の中核病院。診療部門システムごとに物理サーバを導入、運用していたため、「新規システムの導入時に、物理サーバの新規購入が必要」「物理サーバの増加にともない、保守費や空調費などの運用コストも増加」「障害発生時の冗長対策が不十分」といった課題があった。

 こうした課題を解決するため、各診療部門で個別導入されているサーバ群を集約し、システム共通の仮想基盤を構築することを決めた。マイナンバー制度の導入も見据え、セキュリティ強化にも取り組んだ。

 具体的には、約60台の物理サーバで稼働していた放射線部門システム、検体検査部門システム、薬剤部門システムなど、約40種類の医療部門システムを共通仮想基盤に順次移行。11台のブレードサーバに集約することで、設備投資コストと運用管理工数を50%以上減らし、システムの可用性も向上する。

 仮想基盤には垂直統合型システム製品「EMC VSPEX」を採用。セキュリティ強化のためにネットワーク仮想化ソフトウェア「VMware NSX」を活用して仮想マシン単位で仮想ファイアウォールを実装した。万一、不正侵入された場合でも被害拡散を防止する「マイクロセグメンテーション」の採用は国内医療業界で初めてだという。

共通仮想基盤
福井県済生会病院が構築した医療情報システム用の共通仮想基盤(ネットワンシステムズ提供)

 医療部門システムのメンテナンス用に、仮想デスクトップ環境も構築した。VMware NSXとセキュリティ対策製品「Trend Micro Deep Security」を連携し、ウイルス感染したクライアント環境を検知すると自動的に隔離し、検疫後に自動復旧する仕組みも整備した。

 システムの可用性については、障害発生時に物理環境と仮想環境が連携して迅速にサービスが自動復旧し、サーバのメンテナンス時も停止することなくサービスが継続する仕組みを整えているとしている。ネットワンの遠隔モニタリングサービスが24時間365日体制で障害を検知、保守対応する。

 今後は、仮想環境の監視、管理製品「VMware vRealize Operations Manager」で仮想マシンの稼働状況をモニタリングし、リソース配分を最適化することでより効率的で安定したシステムの稼働を実現する予定だという。

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