情シスから始まるデータ分析

データ分析にはどのようなツールが必要なのか--マーケティング編 - (page 3)

三木康裕

2015-11-13 07:00

統計手法・機械学習ベースのデータ分析--Rを用いて

 Tableauを使うことにより、リッチなデータの可視化による分析が可能になった。最後に、少し背を伸ばして、Rによる統計手法・機械学習をベースにしたデータ分析を紹介しよう。Rは統計処理のためのフリーソフトであり、すべて無料で使うことができることが強みだ。Rの公式サイトからダウンロードすることで利用できる。

 操作性の高いExcel、Tableauを今まで見てきたため、いきなりプログラミング言語のRが登場して戸惑われる方もいるかもしれない。確かに前の2つのツールより習熟には時間がかかり、最初のうちはとっつきづらさを感じるかもしれない。しかし、

  • 統計処理、機械学習の豊富なパッケージがある
  • 処理の自動化、継続的なレポートの配信ができる
  • 前処理が必要なデータに対し、適切な前処理ができる

 といった点に強みを持ち、ExcelやTableauなどのツールでのデータ分析に慣れており、もっと深い分析をしたい方にはおすすめである。

アソシエーション分析

 前章のTableauを用いた可視化による分析から、居酒屋の売り上げが減少している原因が一品料理の新メニューの顧客単価の減少にあることがわかった。この結果をもとに社内でアクションの方針を議論した結果、一品料理の新規メニューと別のメニューをセット販売する施策を行い、一品料理の新規メニューへの注目を引き顧客単価増加を目指すこととなった。

 セット販売をする際に最適なメニューの組み合わせはどうやって決めればよいのだろうか。実は、これもデータ分析を用いることができるのである。ここでは、セット販売する最適なメニューの組み合わせをアソシエーション分析という手法を用いて分析してみよう。

 アソシエーション分析は顧客がどのような商品の組み合わせをよく購入しているかを分析するものである。よく購入される商品の組み合わせを知ることで同時陳列、セット販売などマーケティング施策の立案に活かすことができる。

 アソシエーション分析の有名な例としてよく用いられるのがおむつとビールの例である。ある米国の大手スーパーが販売データを分析したところ、紙おむつとビールが一緒に購入されている傾向が分かった。この結果を実際に調査すると、その理由は父親が子供の紙おむつを買うついでにビールを購入していたためだった。結果を踏まえ、紙おむつとビールを同じ棚に陳列したところ、売り上げアップにつながった。

 アソシエーション分析はRの「arules」パッケージをダウンロードすることによって使用できる。パッケージの中のapriori() 関数を用いることにより、販売データの中でよく購入される商品の組み合わせのルールが抽出できる。アソシエーション分析は例えば以下のようなコードによって実行される(図7、8)。


(図7)アソシエーション分析のRコード例

(図8)アソシエーション分析のRでの実行結果

 Rを用いて居酒屋の購買データでアソシエーション分析を実施することにより、例えば、新メニューの手羽先の唐揚げとビール、チキン南蛮と枝豆の組み合わせ購入ルールが抽出されたとする。これらの商品を晩酌セットなどでセット販売を行うことで、一品料理の新規メニューへの注目を引き、顧客単価を増加させることができるだろう。

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