コンテナベースのアプリケーション開発で協業強化--ヴイエムウェアとNTT Com

怒賀新也 (編集部)

2015-11-09 18:33

 ヴイエムウェアとNTTコミュニケーションズ(NTT Com)は11月9日、企業アプリケーションを構築する際に、コンテナやマイクロサービスを活用しやすくするためにクラウド基盤の提供で協業すると発表した。

米VMwareのクラウドプラットフォーム担当バイスプレジデント、Mark Romayer氏
米VMwareのクラウドプラットフォーム担当バイスプレジデント、Mark Romayer氏

 来日した米VMwareのクラウドプラットフォーム担当バイスプレジデント、Mark Romayer氏は、オンプレミスを中心とする従来型のアプリケーションの構築から、RESTful APIなどを経由してさまざまなアプリケーションを連携させて開発する「マイクロサービス」のようなアプリケーションが増えてくると指摘する。

 「アプリケーションの構築方法が、1枚岩のものから、コンテナやマイクロサービスなどを用いた手法に移りつつある。こうしたクラウドネイティブのアプリケーション構築手法をVMwareとして全面サポートしていく」と話す。

 VMwareが大きな存在感を持つサーバ仮想化技術が広く普及している一方、Dockerなどが提供する、より軽量なコンテナ技術を用いて、小さな単位のアプリケーションを組み合わせて全体を構築するマイクロサービスに注目が集まっている。コンテナでは、例えば1分間に数千単位のアプリケーションを立ち上げ、同時に数十万ワークロードを処理するといった、軽さゆえに仮想マシンとはけたの違う量の情報を扱える点がポイントだ。

 VMwareはDockerとも既に協業関係にあり、また、今年夏にはコンテナ向けに最適したクラウドネイティブ基盤「Photon Platform」を発表している。APIを連携させた大規模な基盤を自動で稼働させる機能などをそろえた。

 その下のレイヤでは、vSphereの仮想サーバと同じ環境でコンテナも運用できる新技術「vSphere Integrated Containers」も開発した。これにより、vSphere環境に慣れたユーザーが無理なくコンテナ技術を取り入れられる。

 現状、コンテナ技術の課題として、セキュリティ面の弱さを指摘する声がある。そこで、vSphere Integrated Containersを挟むことで、コンテナを仮想マシン上に載せる格好になる。処理の軽さを維持しつつ、1つの仮想マシンに1つのコンテナという対応関係を可能にするため、仮想マシンが持つセキュリティ機能をコンテナに確実に適用できるという。システム全体が仮想マシンの集まりになるという意味で単純化することにより、システムの可視性や互換性も向上する。

仮想マシンのセキュリティの高さをコンテナに適用できるようになる
vSphere Integrated Containersにより仮想マシンのセキュリティの高さをコンテナに適用できるようになる

 今回、NTT ComとVMwareは「クラウドネイティブプラットフォームの成長を加速させるために協業を加速する」と説明。ヴイエムウェアはNTT Comに、開発中製品のテクノロジプレビューを提供するとともに、技術的な支援もする。開発コミュニティーの支援も両社ともに手掛けるとしている。


NTT Comのクラウドサービス部長を務める田中基夫氏

 2007年、クラウド向けインフラを提供するNTT ComがVMwareのサービスプロバイダーになり、2013年には、NTT Comのクラウドサービス「Enterprise Cloud」にVMwareのネットワーク仮想化技術を世界に先駆けて導入。両社が築いてきた協力関係を、今回さらに深める考えだ。

 クラウドサービス部長を務める田中基夫氏は協業について、コンテナ技術を含めてクラウドネイティブなシステム構築に取り組むVMwareと、一緒に取り組んでいくという決意を表明した段階だとする。「実際にコンテナ技術やマイクロサービスなどがユーザーに広まるか、技術的な問題などの検証はこれから」との現状認識を示した。

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