NTTドコモは、料金システム「MoBills」のデータベース基盤を刷新し、稼働を開始した。新基盤では、旧システムと比較して導入コストを約4分の1、運用コストを約2分の1に削減したほか、約10倍の性能向上を達成したとのこと。製品を提供した日本オラクルが11月16日、発表した。
ドコモでは、さまざまな分野のパートナー企業と協業することで新たな付加価値を生み出すことを目的に、「+d」と呼ぶ取り組みを推進している。
具体的には、ドコモの事業資産であるプッシュ型情報配信やポータルなどの送客能力、ポイントや顧客データベースなどの基盤、料金収納代行やクレジットカードなどの決済機能を、パートナー企業のサービスと組み合わせることで、サービスの拡充を目指している。
この取り組みを推進するため同社では、MoBillsのコアエンジンとなる6600万顧客の通話や通信、決済といった情報をリアルタイムに計算、課金するリアルタイムビリング基盤を刷新し、高度化の推進を決めた。
刷新にあたって、システムの安定運用とセキュリティの確保、経営ニーズに応える柔軟性と迅速なシステム開発、より筋肉質なコスト構造への変革という3つを実現するためのデータベース基盤として、オラクルのデータベース機「Oracle Exadata Database Machine」を導入した。
選定にあたって、新サービスの追加やトラフィック量の増加に耐え得るExadataの高い性能と拡張性、可用性、また、大量の通話・通信データと請求データを格納する上で有効となる圧縮技術や検索技術を評価したとしている。
ハードウェアとソフトウェアにあらかじめ設定を施した上で納品することも選定要因になった。導入期間が短く、特別なチューニングなしに必要な性能を得られる点や、価格競争力も考慮したという。
ドコモによると、今回の導入により旧システムと比較して導入コストが約4分の1、運用コストが約2分の1に削減したほか、約10倍の性能向上を達成。設備面では、データセンターに設置しているラックの数を350から30ラックに削減した。
また、オラクルが基幹システムの高可用性を実現するために提供するベストプラクティスである「Oracle Maximum Availability Architecture」により、特殊なシステムインテグレーションを実施することなく高可用性を実現し、サービスレベルの向上に貢献しているとのこと。
現在、Exadataを用いて1日あたり100万件のサービスオーダー情報と1日に10億件の通話、通信データのリアルタイム計算、課金処理を実施している。ピーク時には1秒あたり約300万ものSQL処理に対応できるという。
ドコモでは、MoBillsにおけるバッチ系処理基盤やデータ分析系基盤など、Exadataの活用範囲を拡大しており、今後、インメモリやマルチテナント機能など「Oracle Database 12c」が持つ技術を積極的に採用しながら、顧客によりサービスを提供していく。