SAPジャパンは12月1日、包括的なデータ分析機能をクラウド型で一元的に提供する新サービス「SAP Cloud for Analytics」を発表、同日提供を開始した。インメモリデータベースをクラウド上で提供する「SAP HANA Cloud Platform(HCP)」を分析エンジンとして利用し、この上にビジネスインテリジェンス(BI)や経営ダッシュボードなど合計5種類の機能モジュールを組み合わせて月額制で提供する。
Cloud for Analyticsの全体像
SAPジャパン バイスプレジデント プラットフォーム事業本部長 鈴木正敏氏
今回同社は、既存のデータ分析ソフトとは別に、クラウド向けにHCPを使ったデータ分析サービスを新規に開発した。これを使うと、企業が抱えているデータ分析の課題を解決できるという。SAPジャパンでプラットフォーム事業本部長を務める鈴木正敏氏は、新サービスのコンセプトを「すべての分析を、すべてのユーザーに、1つの製品で提供する」と説明する。
鈴木氏は、現状のデータ分析の課題を3つ挙げる。1つは、データ分析基盤が業務アプリケーションから分断されており、日々の意思決定と業務プロセスの同期が取れていないこと。1つは、IT部門が主体となってデータ分析基盤が構築されており、業務部門がデータを自由に分析できていないこと。1つは、オンプレミスで構築されていて拡張性などが欠けており、レポート出力が主体のデータ活用となってしまっていること。新サービスのCloud for Analyticsは、これらを解決する。
Cloud for Analyticsは、HCPの上に5つの機能モジュールを組み合わせている。サービス開始時点で提供する機能はこのうち3つで、以下の通り。
(1)「SAP Cloud for Analytics for BI」はBIソフトで、業務部門のエンドユーザー向けのBI機能を提供する。セルフサービス型で簡単に利用できるとしている。CSV(カンマ区切り形式)ファイルなどを登録して自由に分析できるほか、HCPの機能を使うことで、オンプレミスの業務データや各種クラウドサービスの業務データなどに対して透過的にアクセスできる。
エンドユーザー向けのBI機能を提供する
(2)「SAP Cloud for Analytics for Planning」は業務計画ソフト。 計画とシミュレーション、予実管理などの機能を提供する。
(3)「SAP Digital Boardroom」は経営ダッシュボード。パッチパネル付きの大型ディスプレイに映して経営会議などで利用することを想定している。画面上でデータをドリルダウンして分析できる
後日提供する機能モジュールは2つで、以下の通り。(4)「SAP Cloud for Analytics for Predictive」は予測分析ソフトで、データをもとに未来を予測する。(5)「SAP Cloud for Analytics for GRC」はGRC(Governance, Risk and Compliance)ソフトで、リスクなどの情報を全社的に管理する機能などを提供する。