国立情報学研、情報検索サービス基盤に分散型KVSを採用--Solrも活用

NO BUDGET

2015-12-10 16:21

 大学共同利用機関法人の情報・システム研究機構 国立情報学研究所(NII)は、「JSTプロジェクトデータベース」の構築でNoSQLを採用して、可用性と拡張性に優れ、かつ運用コストを低減できるというサービス基盤を構築した。Bashoジャパンが12月8日に発表した。

 JSTプロジェクトデータベースは、国立研究開発法人の科学技術振興機構(JST)が9月に提供を開始した新しいサービスで、同機構の競争的資金制度で推進する研究課題などの情報を検索できるデータベース。研究課題などの情報は従来から提供されていたが、各事業のウェブサイトや冊子などでバラバラに発信されていたため、一元的に情報を検索できるようにするためにJSTプロジェクトデータベースが提供されることとなった。


(Basho提供)

 NIIは、科学研究費助成事業データベース「KAKEN」を開発、運用しており、JSTからKAKENのノウハウを活用したサービス開発の依頼を受け、今回のJSTプロジェクトデータベースでは開発から運用までを請け負った。

 同プロジェクトでは、関連のある研究などを連携して検索したいといったニーズもあり、可用性に対する要求も高い一方、商用サービスと違って多大なコストをかけて監視体制を作ることが難しいといった課題もあった。こうした課題に対し、プロジェクトではBashoのキーバリュー型分散データベース「Riak KV」が採用された。Riak KVの採用につながった主な利点は以下の通り。

  • ノードに正副の概念を持たず、耐障害性が高い。24時間365日安定した稼働が可能
  • 可用性の高い構成が実現でき、拡張性も高いため、運用が容易
  • 日本法人の円滑かつ迅速なサポートが利用できる
  • 全文検索エンジンのアドオンが提供されるため、全文検索エンジンの別途構築が不要となり、短期で容易にデータベースの構築が可能

 開発に先立ち、全文検索エンジンとしてオープンソースソフトウェア(OSS)の「Apache Solr」とRiak KVを使ったプロトタイプを制作し、KAKENのデータで試験的に使用してみたところ、良い感触が得られたという。この結果を受けて、Riak KVとアドオン「Apache Solr Add-On」で構築することが決定した。

 JSTプロジェクトデータベースの公開系システムの構築はNIIとアイキュームを中心に進められ、Bashoも積極的に支援したという。構築はスケジュール通りに完了し、9月30日からサービスを提供している。

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