ソフトウェア・イン・シリコンのSPARC M7プロセッサ発表--日本オラクル

NO BUDGET

2015-12-10 18:54

 日本オラクルは12月9日、新開発の「SPARC M7」プロセッサを搭載した新しいシステム製品群6機種を同日から提供すると発表した。SPARC M7搭載システムの提供開始に合わせて、Solarisの最新版「Oracle Solaris 11.3」も同時に提供する。

 SPARC M7プロセッサは、動作クロック4.13GHzで32コア/256スレッド、高度なセキュリティや効率的なデータ管理機能をプロセッサ上に埋め込む「ソフトウェア・イン・シリコン」機能が特徴。またSolaris 11.3では、セキュリティ、仮想化、クラウド管理機能を強化した。

 オラクルではSPARC M7プロセッサを、マイクロプロセッサからアプリケーション、クラウドまで統合する同社の「コンバージドインフラストラクチャ戦略」を推進する一環と位置付けており、ビッグデータやInternet of Things(IoT)、クラウドアプリケーションの基盤に優れたパフォーマンスを提供できるとしている。

 また、SPARC M7はオープンプラットフォームとなっており、開発者はソフトウェア・イン・シリコンの各機能を引き出して新規ソフトウェアを開発できる。

 SPARC M7プロセッサの持つソフトウェア・イン・シリコン機能では、以下の新しい機能を提供する。

高度な侵入防止と暗号化のための「Security in Silicon」

  Security in Siliconとして「Silicon Secured Memory」機能および暗号化アクセラレータ機能を搭載。

 Silicon Secured Memoryは、メモリ内のデータに対するアクセスをリアルタイムにチェックする機能。これにより、悪意のある侵入やプログラムコードの脆弱性からの保護を本番環境で実現するほか、プログラムコードの不正なメモリアクセスを検出し、バグの発見や障害時の問題個所の特定を容易にすることで、セキュリティと信頼性が大幅に向上するという。

 同機能による保護は、「Oracle Database 12c」において標準で使用し、既存のアプリケーションでも簡単に有効化できる。また、高度なカスタマイズを可能にするためのAPIも開発している。

 暗号化アクセラレータは32のコアそれぞれに実装され、AES、DES、SHAなど一般に広く用いられている各種暗号方式をサポート。パフォーマンスに影響を与えることなく暗号化を実現するとのこと。AES-256-GCM暗号化ファイルシステムを使用する128コア搭載の「SPARC T7-4」サーバは、ベンチマークテストにおける競合他社製品との比較で、3.8倍高速だったという。

効率的なデータ管理を実現する「SQL in Silicon」

 32コア全てを補助するアクセラレータエンジンにより、SQL処理のオフロードと高速化を図った。メモリ上のデータに対する解凍処理、フルスキャン、レンジスキャン、フィルタリング、結合アシストなどがコプロセッサによって実行、データベースおよびアプリケーションの効率性とパフォーマンスが大幅に向上する。

 またアクセラレータエンジンに処理の一部をオフロードすることで、各CPUコアの効率性は大幅に向上し、使用メモリも削減されるため、オラクルによると最大10倍高速なデータベースクエリ性能が実現できるという。この新機能は、Oracle Database 12cのインメモリオプションでサポートされている。


「SPARC M7」搭載システムの価格・詳細(オラクル提供)

 今回発表されたSPARC M7搭載システムは、エンジニアドシステム「Oracle SuperCluster M7」、「SPARC T7」サーバ3機種、「SPARC M7」サーバ2機種の合計6機種。最大512コア/4096スレッド、8TBのメモリまで拡張可能なラインアップとなっている。

 これらのシステムは、既存のインフラストラクチャとシームレスに統合できるように設計しているだけでなく、仮想化技術を統合し、クラウドの管理を含めることが可能。また、既存のアプリケーションを変更することなく実行できるだけでなく、そのセキュリティ、効率性、パフォーマンスを大幅に向上するとしている。

  • 「SPARC M7-8」(オラクル提供)

  • 「SPARC M7-16」(オラクル提供)

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