加速するオールフラッシュ化、HDDを逆転--HPEのストレージ事業

羽野三千世 (編集部)

2015-12-16 15:17

 日本ヒューレット・パッカード(HPE)は12月10日、フラッシュストレージ「HPE 3PAR StoreServ」シリーズから、(1)フラッシュに最適化されたブロック/ファイルアーキテクチャを採用するユニファイドストレージ「HPE 3PAR SoreServ 8200 Converged File & Block Stater Kit」、(2)オールフラッシュストレージデータセンターへの移行支援ツール「3PAR Flash Acceleration for Oracle」「3PAR Online Import」、(3)フラッシュ対応の重複排除バックアップアプライアンス「HPE StoreOnce Systems」、(4)3PAR SoreServフラッシュアレイと連携するテープストレージ「HPE StoreEver」を発表した。


日本ヒューレット・パッカード 執行役員 エンタープライズグループ事業統括 ストレージ事業統括本部 事業統括本部長の山口太氏

 HPE 3PAR SoreServは、オールフラッシュ、フラッシュ/HDDが混在するハイブリッドに対応するストレージ製品シリーズ。ストレージ装置やバックアップアプライアンス、移行支援ソフトウェアなどで構成される。「オールフラッシュデータセンターを実現させるソリューション」(同社 執行役員 エンタープライズグループ事業統括 ストレージ事業統括本部 事業統括本部長の山口太氏)という位置づけだ。

 山口氏によれば、HPEのストレージ製品の出荷額の内訳は、2014年第4四半期(8~10月)の時点ではオールHDDが55%、ハイブリッドが28%、オールフラッシュが17%だった。これが2015年の第4四半期には、オールHDDが26%、ハイブリッドが35%、オールフラッシュが39%になり、オールフラッシュがHDDを逆転している。「肌感覚よりも早く、オールフラッシュ化が進んでいる」(山口氏)


HPEのストレージ出荷額でオールフラッシュがHDDを逆転

 国内では、ライオンが基幹業務のデータ基盤を3PAR StoreServでオールフラッシュ化した。これにより、従来19時間を要していた週次バッチ処理を7時間50分に短縮したほか、物理サーバ台数とラック台数が半減した。また、EMCのハイエンドストレージから3PAR StoreServオールフラッシュに移行したSony Entertainment Networkでは、パフォーマンスが5~10倍に向上したほか、ライセンスコストが50%削減されるなどの導入効果があったとする。

EMCからの移行を加速


米HPE バイスプレジデントのBill Philbin氏

 米HPE バイスプレジデントのBill Philbin氏は、同社のストレージ事業の戦略について「3PAR StoreServシリーズでEMCからの移行を狙っていく」と説明した。Philbin氏が提示したSPC-2ベンチマークのテスト結果によれば、3PAR SoreServのハイエンドストレージ装置「HPE 3PAR StoreServ 20850」のパフォーマンスは6万2844Mbps、記憶容量1GBあたりの価格は50.94ドルで、EMC製のハイエンドストレージ製品「EMC VMAX3 400K」と比較して、パフォーマンスが13%高く、GB単価が50%低い。「SSDをスペア領域まで使用できる独自技術によりGB単価が優れている」(山口氏)

 Philbin氏は、今回発表したストレージ装置「HPE 3PAR SoreServ 8200 Converged File & Block Stater Kit」では、「EMC VNX」と比較して設置スペースを40%削減、運用管理コストを50%削減しているとアピールした。また、併せて発表した移行支援ツール「3PAR Online Import」は、EMC製品から3PAR SoreServへのリプレースを、簡単な5ステップの操作で完了させる12カ月間の無償ライセンスだ。EMCのほか、IBM XIVにも対応する。

 HPE 3PAR SoreServ 8200 Converged File & Block Stater Kitの税別価格は960万円、2月下旬に発売する。

3PAR SoreServフラッシュストレージと連携するデータ保護製品

 HPE StoreOnce Systemsは、Oracle、SAP、Microsoft、Veeam、Veritasのアプリケーションと統合されたディスクベースの重複排除バックアップアプライアンスだ。最大使用可能容量5.5TBのエントリモデルから、最大使用可能容量1728TBのハイエンドモデルまでラインナップする。今回は、エントリモデルの「StoreOnce 3100 8TB System」と、ミドルレンジモデルの「StoreOnce 3520 12TB System」「StoreOnce 3540 24TB System」「StoreOnce 5100 48TB System」の4モデルを発表し、同日発売した。

 各モデルに対しては、3PAR SoreServからアプリケーションと連携したスナップショットオフロード機能を提供できる(「StoreOnce Recovery Manager Central(RMC)」ソフトウェアを経由)。VMwareと統合されているRMCソフトの場合は、3PAR SoreServからMicrosoft SQLスナップショットを直接作成してStoreOnce全モデルに移動できるようになっている。

 税別価格は、StoreOnce 3100 8TB Systemが98万円から。StoreOnce 5100 48TB Systemでは630万円から。

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