海外コメンタリー

2015年のLinuxとオープンソース--期待と失望の1年を振り返る

Jack Wallen (TechRepublic) 翻訳校正: 編集部

2015-12-22 06:00

 2015年も間もなく終わりを迎えようとしているが、大変な1年だった。Linuxデスクトップの勃興を今年も目にできなかったのが、筆者には残念でならない。しかし、それはよしとしよう、少なくとも今のところは。なぜならLinuxは、デスクトップよりもはるかに重要な市場の覇権を手中に収めたからだ。

 加えて、世界中の大多数の人々にとり、デスクトップは存在意義を失いつつある。その詳細については後述する。

エンタープライズ

 Linuxとオープンソースが2015年に成し遂げた最大の偉業は、エンタープライズ市場の覇権を堅持したことだろう。こんな日が来るとは、10年前には誰も予想できなかった。しかし驚くべきことに、Linuxは2015年もエンタープライズ市場の覇者であり続けた。なぜこれほどの偉業を成し遂げられたのか。最大の要因は、ビッグデータとSUSEである。SUSEはインメモリデータベースへの対応と再起動不要のカーネル更新機能によって、ビッグデータへの完全対応を証明してみせた。SUSEはアップタイムを死守できるのだ。

 しかし、SUSEやビッグデータでの成功を差し置いても、Linuxはエンタープライズ市場で最も愛されるOSへと成長した。ウェブサーバ、データベース、セキュリティ、仮想サーバなど、Linuxはありとあらゆる現場で活躍中である。Linuxにとって2015年最大の収穫は、エンタープライズ用インフラストラクチャの屋台骨を支えるOSとして、自身の地位を確立できたことだろう。

ディストリビューション再編

 2015年、Linuxとオープンソースの世界では数多くの再編が起きた。その最たるものは、ディストリビューションだ。これまでは、Linuxに少々の味付けを施し、大企業が飛び付きそうな大がかりな機能に対応させておけば、主要ディストリビューションの地位に留まることができた。しかし、そうした既得権益の体制は2015年に瓦解した。「Ubuntu」が王座から転落したことで、下層階級のディストリビューションに下克上の機会が訪れたのだ。王座争奪戦の最有力候補として、「Linux Mint」や「Arch Linux」など、あるいは大穴として「Debian」を考えていた人もいたかもしれない。しかしいざ蓋を開けてみると、最前線に躍り出たのは無名のディストリビューション達だった。その闘いの中から、ひときわまばゆい光を放つ新星が現れた。新星の名前は、「Elementary OS Freya」。Ubuntuを見限ったユーザーの多くが、このディストリビューションに飛び付いた。実際、Elementary OS Freyaは極めて優れたディストリビューションで、かくいう筆者もその完成度に唸らされ、逡巡なしにUbuntuから乗り換えてしまったほどだ。

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