オウケイウェイヴ、ブロックチェーン活用をテックビューロと共同で

NO BUDGET

2016-01-05 18:34

 オウケイウェイヴとテックビューロは1月4日、事業提携を発表した。テックビューロのブロックチェーン技術「mijin」でオウケイウェイヴのシステムでの知財販売決済やユーザー認証、サポートキューの実証実験と共同開発を進める。

 ブロックチェーン技術は、Bitcoinなどで活用される、PtoP方式によるデータ処理の基盤技術。複数のコンピュータが分散して合意形成して暗号署名しながらブロック単位で複数データを処理することで改ざん不可能なセキュリティを実現できると期待されている。安価なコンピュータで稼働しながらも非常に高い可用性を実現できるといった特徴を持つ。

 たとえば、通常のデータベースではキャパシティを超えると機能を停止してしまうのに対し、ブロックチェーンでは自動的に遅延して処理されるため、サービスへの悪影響が抑えられる。FinTech分野での注目技術の一つであり、決済システムとして活用されるだけでなく、ユーザー認証や権利の管理、権利の移転記録などの基盤技術としても期待が高まっている。

ブロックチェーン技術
ブロックチェーン技術のイメージ(オウケイウェイヴ提供)

 テックビューロでは、このブロックチェーン環境を企業内や企業間で利用可能な形で構築できるプラットフォーム「mijin」を開発、提供。mijinは金融機関から電子マネー、ポイント、オンラインゲーム、ロジスティクスまで幅広く適用できる汎用性の高さが特徴で、既存のデータベースや勘定システムを置き換えることで劇的なコスト削減と同時に改ざん不可能なセキュリティと実質ゼロダウンタイムを実現するという。

 今回の提携では、オウケイウェイヴが数多くの企業に提供しているQ&Aシステムやコールセンターのシステムにmijinを応用することで、より安全なユーザー認証とサポートキューシステムの実証実験と共同開発に取り組む。

 オウケイウェイヴが年内のリリースを予定している知財販売サービスでも、知財権利の管理と決済の部分についてmijinをベースにした販売システムを構築していく予定。さらに両社では実証実験と共同開発の成果を、ブロックチェーンを組み込んだ製品として一般にも共同で販売していく予定。

 オウケイウェイヴが外部サイトに対して提供している「OKWAVE ID」によるログイン認証で既存のユーザーに対する「ユーザー名」+「パスワード」の体験はそのままに、内部の認証システムに公開鍵暗号のマルチシグネチャでのブロックチェーンを実装する。

 内部の不正や漏洩が原理的に不可能である、より安全なシステム構成を研究開発する。また、スマートフォンアプリからは、直接的に公開鍵暗号技術を使用したマルチシグネチャ(複数鍵)による二段階認証、生体認証と秘密鍵を組み合わせた簡易ログインなどの実証実験も実施する予定。

OKWAVE IDのユーザー認証への適用
OKWAVE IDのユーザー認証への適用(オウケイウェイヴ提供)

 オウケイウェイヴが提供するQ&Aシステム「OKBIZ. for Helpdesk Support」では、複数顧客が抱える数多くのユーザーからの各種問い合わせを全て漏れなく記録し、一元に管理し、かつそれらを滞りなく処理する必要がある。そこにブロックチェーンのゼロダウンタイム機構と、「データの整合性が崩れない」「データが改ざんできない」という特徴を活用し、より堅牢で安全なサポートキューシステムの開発に取り組む。

サポートキューへの適用
サポートキューへの適用(オウケイウェイヴ提供)
 オウケイウェイヴでは、2016年内に知識や知財を個人が販売できるサービスの展開を予定しており、そこでmijinのブロックチェーンを活用した権利の管理と決済システムを構築する。

 ブロックチェーンの勘定機能は、自動的に二重払い(ダブルスペンド)を防止する仕組みとなっている。情報の記録と移転には必ず電子署名が伴い、改ざんができない。こうした点から、ブロックチェーンは登記や決済など所有権の管理と移転にも適した仕組みという。

知財の管理と決済への適用
知財の管理と決済への適用(オウケイウェイヴ提供)

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