IoTシステムを構築するために必要な5カ条--エッジとサーバを全体最適化するために

大谷卓也 竹本佳充(MathWorks Japan)

2016-02-05 07:30

データ解析、モデル作成できる技術計算プログラミング環境「MATLAB」

 米国の研究機関によって開発された線形代数ライブラリ「LINPACK」「EISPACK」などを基に、プログラミング環境、グラフィックス機能などを統合し、1984年に設立したMathWorks社が、「技術計算言語」としてMATLABの初版をリリースした。MATLABは、数値計算、可視化が備わった高水準なプログラミング環境であり、データ解析、アルゴリズム開発、モデルやアプリケーションの作成が可能です。

 今日、100万人以上のエンジニアや科学者がさまざまな研究、開発にMATLABを共通言語として使用しています。ここではMATLABを使用したIoTシステムの構築手法について紹介します。

膨大なデータでネットワーク、サーバに負荷--課題山積のIoT

 近年、センサデバイスの低価格化、高性能化により、IoTの適用分野が広まっています。適用例としては、工場や製造プラント、自動車の走行データ解析、メディカル、気象データを使った災害予知などが挙げられます。一方で、これらのIoTシステム開発ではデータの扱いに関するさまざまな問題も顕在化してきています。

 例えば、心拍などの生体信号を収集するウェアラブルデバイスの場合、多くのデバイスから1秒間に数千サンプルのデータが収集されます。ユーザー数の増加にともない、膨大なデータのハンドリングが必要となり、データ収集時のネットワーク負荷やコンピューティングリソース、消費電力などの問題も顕在化してきます。

IoTシステムを構築するために必要な5箇条

 データを効果的に活用し、高度なアナリティクスにつなげていくIoT時代においては、エッジデバイス側の処理と、サーバクラウド側の処理の全体最適化が重要となります。次章からはIoTシステム構築にあたり、以下のワークフローに沿って解決すべき課題と使われる技術、その実装方式について示します。

  1. 精度の高い特徴量の抽出
  2. 高度なアナリティクスの実装
  3. コンピューティングリソースの全体最適化
  4. エッジデバイスへのアルゴリズムの実装
  5. アグリゲータでのコンピューティング環境
図1:IoTシステム全体像: エッジ・デバイス、アグリゲータ、ホストPC側での高度なアナリティクス
図1:IoTシステム全体像: エッジ・デバイス、アグリゲータ、ホストPC側での高度なアナリティクス

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