展望2020年のIT企業

アジアナンバーワンのビジュアルコミュニケーションへの道

田中克己

2016-02-10 07:30

 ウェブテレビ会議などビジュアルコミュニケーションツールを手掛けるブイキューブが、シンガポールを拠点にアジア市場の開拓に一段と力を入れている。2009年から取り組み始めた海外事業の売り上げは、2015年度に10億円以上に達する。社長兼最高経営責任者(CEO)を務める間下直晃氏は「アジアでナンバーワンのビジュアルコミュニケーションの基盤になる」と語る。

企業内から社会インフラへと広げるブイキューブ

 1998年に設立したブイキューブの業績が好調に推移している。2012年度(12月期)の約20億円から2015年度に60億円超へと売り上げを大きく伸ばす。2015年7月に東証1部に移行した同社の間下社長は「数年後にアプライアンス商品を除いたクラウドとオンプレミスで、100億円超を目指す」と意気込む。ビジュアルコミュニケーションの用途が、企業内の会議や研修、営業から医療や教育、金融、ロボットなど社会インフラへ広がっているからだろう。

 「電話みたいなもの」と、間下社長はビジュアルコミュニケーションを表現し、法改正などで生まれた新しい活用を紹介する。高等学校における遠隔教育の解禁で、例えばネイティブな英語を話す教師が1時間目を九州の高校、2時間目は北海道の高校で授業を行える。慢性疾患から多くの疾病へと広がる遠隔医療のほか、不動産の契約でもウェブテレビなどを使った疑似対面も認められるようになったという。

 地方自治体などとドローンを使った災害対策の実証実験も始まる。こうした遠隔地とのコミュニケーションに、ウェブテレビなどの仕組みを利用した同社のユーザーは5000社以上になり、顧客の利用額は月額数千円から数百万円とさまざま。数万人、数十万人が使う通信教育などの基盤に採用するユーザーもいる。

 機能強化に向けて、買収したり、資本参加したりもする。2014年に傘下に加わった電子黒板などを開発するパイオニアVCを皮切りに、2015年には企業研修などを展開するシステム・テクノロジー・アイ、シンガポールで教育向けITソリューションを開発するWizlearnテクノロジーズなどを買収する。各社のサービスや商品にウェブテレビ会議と組み合わせた展開もする。

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