継承後も体制に変わりはない--レノボ、エンタープライズ事業戦略の要点

大河原克行

2016-02-17 16:19

 レノボ・エンタープライズ・ソリューションズは2月16日、同社の事業戦略を説明。サーバ・ストレージ、スマートデバイス、パートナーの3つを2016年の重点戦略に掲げる方針を示した。

 エンタープライズ事業は、IBMからの事業継承後、毎四半期連続で黒字、増収を続けており、2015年度第3四半期(2015年10~12月)の売上高は前年同期比12%増の13億1400万ドルに達している。

レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ 代表取締役社長 留目真伸氏(レノボ・ジャパン代表取締役社長も兼務)
レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ 代表取締役社長 留目真伸氏(レノボ・ジャパン代表取締役社長も兼務)

 代表取締役社長の留目真伸氏(レノボ・ジャパン代表取締役社長も兼務)は、「PC事業は過去最高のグローバルシェアとなる21.6%を獲得。日本でも29.4%のシェアを獲得した。勢いがさらに増している状況にある。一方で、エンタープライズ事業でもグローバルで増収増益を記録。買収前より高い実績となり、攻めの戦略を打ち出すことができている。日本でも、エンタープライズ製品は第2四半期(2015年7~9月)に5.0%のシェアを獲得し、第3四半期は6%前後のシェアになっている。統合はスムーズに進んでいる」と状況を解説した。

 エンタープライズ事業では、当面の目標として全世界で1年間に50億ドルの売上計画を打ち出しているが、予定通りの進捗になっているとした。

ハイパーコンバージドに焦点

 サーバ・ストレージ戦略では、「IBMから約1年前にエンタープライズ事業を継承したが、製品、生産、開発、サポート体制については何も変化がない。米ノーカロライナ州ラーレイの拠点で開発し、大和研究所とも連携している。販売は引き続き、IBMの直販部門や特約店を通じて展開。サポートについても全国72カ所のサービス拠点に配置された日本IBMの技術員が保守している」(取締役の安田稔氏=レノボ・ジャパン執行役員専務も兼務)

 その一方で、ハイパーコンバージドシステムにフォーカスする姿勢を強調。安田氏は「SANやNAS、DASといった既存のストレージは、年平均で17.8%のマイナス成長となるが、ハイパースケールストレージやソフトウェアデファインドストレージ(SDS)などの次世代ストレージは、年率66.9%増の成長を遂げると予測されている」と現況を解説した。

レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ 取締役 安田稔氏(レノボ・ジャパン執行役員専務も兼務)
レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ 取締役 安田稔氏(レノボ・ジャパン執行役員専務も兼務)

 「SDSと最新サーバとの組み合わせでTCO(総所有コスト)を劇的に変えることができると考えており、Lenovoは、そこにフォーカスしていく。今後5年間でTCOを58%削減できたり、ラックスペースが激減したりといった事例もある。すでにハイパースケールインフラの専門組織を立ち上げており、ここでは、製品の企画から販売までの垂直モデルを確立。顧客ニーズをダイレクトに反映できる体制を整えている」(安田氏)

 1月にハイパコンバージド市場で52%の市場シェアを持つNutanixソフトウェアとx86サーバ「System x」を組み合わせた「Lenovo Converged HX」シリーズを発表している。

 「ハイパースケールワークロードでは、ハードウェアのアーキテクチャの変化とソフトウェアディファインドの浸透という2つの技術トレンドがある。同時に、個別のワークロードを最適化することが求められており、それに向けたインフラが注目を集めている。Lenovoは、高集積サーバを近いうちに投入するとともに、一定規模のサーバ台数を求める顧客に対して専用サーバを提供するカスタム対応、小電力で活用できるマイクロサーバの提供、ディスグリケーテッドに関するコミュニティーへの参加などを進めていく」(安田氏)

 2015年度下期に開始を予定していた米沢事業場でのSystem xの生産について、2016年度以降に持ち越すことを明らかにした。「今後も米沢事業場での生産に向けて、検討を続けていく」と語った。

コンシューマライゼーションの波を活用

 スマートデバイス戦略では、モバイルPCからシステムまでの総合力を結集、コンシューマライゼーションの波を活用していくとの姿勢を示した。

 「多様化するニーズに対応した製品ラインアップ強化策をこれまでのコンシューマー向け中心からコマーシャル向けへとシフトしていく。(モバイル端末管理=MDMを提供する)SOTIとの提携で店舗などに設置するタブレットPOSやセルフオーダー端末、デジタルサイネージへの展開。日本独自の利用シーンに対応するために(海外と接続できる会議システム)xSyncを提供するパイオニアVCなどのパートナーとの連携も図っている。今後は、スマートフォンやウェアラブルデバイスなどの日本に展開していない製品もコンシューマー用途だけでなく、コマーシャル用途を視野に入れて日本で展開していきたい」(安田氏)

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