日立製作所は3月3日、企業の商品情報や購買履歴データをもとに顧客の嗜好を判断する「顧客インサイト分析サービス」を開始する。顧客視点での商品企画や販売施策の立案に役立つ。価格は個別見積もり、サービス提供は3月4日から。
「健康志向」「価格重視」「トレンド追随」といった顧客のさまざまな嗜好を定義し、それらを商品の特徴に関連づける。その上で商品の購買履歴を分析することによって、顧客の嗜好と実際に購入される商品の関係性を明らかにし、企業の施策立案で考慮すべきポイントを明確化したレポートを提供する。
「顧客インサイト分析サービス」の概要図(日立提供)
顧客の嗜好を推定する高精度な独自技術を活用。変化する顧客の嗜好と購入される商品の関係性をレポートにまとめて提供する。これによって顧客のニーズや行動パターンを想定した商品企画や販売施策の立案を支援する。また、商品の需要予測に活用することで仕入れや在庫計画の精度を高め、コストの削減にも役立てられるという。
新開発した独自の情報抽出技術は、過去の分析結果を最新の購買履歴データをもとに更新する際に、更新情報の粒度や差分の大きさなどから分析で重要となる点を取捨選択できるとしている。
- TechRepublic
Japan関連記事:今必要なのはセキュリティコックピット--再注目されるSIEMの意義
- インシデント発生時に迅速、正確に原因を突き止める“第3世代”SIEM--EMCジャパン
- スキーマ不要でログを収集、検索、分析するSIEMの次世代性--Splunk
- 検知後の行動も定義、“グレー”な振る舞いを見極めるSIEMの分析力--HPE
- “マグニチュード”で危険度を数値化するSIEMのインテリジェンス--日本IBM
- セキュリティ対策をライフサイクルで捉えるこれからのSIEM--マカフィー
購買履歴データの大小に関わらず分析の精度を高めるため、データの偏りを補正する確率モデルを機械学習することができる。特定の嗜好を持つ顧客層に購入されやすい商品を、購買履歴データの少ない商品を含めた分析で正しく推定できる確率が、一般的な方式と比べて最大約60%向上することを、シミュレーションによる検証で確認しているという。
これにより、新商品など購買履歴の少ない商品や販売数の変動が大きいトレンド商品についても精度の高いデータ分析が可能となり、トレンドを捉えたタイムリーな施策の立案を支援する。
日立が企業の商品情報や購買履歴データをもとに分析を実施し、その結果をレポートとして提供。企業側での分析作業やシステム構築が不要なため、導入にかかる費用や期間などを抑えながら低コストでデータ活用を始められる。
実証事例では、次のような効果が得られている。
ターゲットメールやクーポン配信への適用では、嗜好別に顧客層を区分し、各層に有効と思われるターゲットメールやクーポン配信を実施。性別と年代を組み合わせた分析に基づく従来のアプローチと比べ、販促対象商品の購買率が約2倍に向上した。
品揃え改善への適用事例は、分析サービスに基づき店舗の品ぞろえを改善した結果、サービスを用いない場合と比べ、対象分野の商品売り上げが最大約10%向上した。
メニューのおすすめ表記への適用においては、日立の社員食堂で約2年半、およそ90万件の購買履歴データをもとに、メニューに対するおすすめ表記の効果を検証する実証実験を実施。その結果、分析サービスを利用しない場合と比べ、施策立案にかかる工数が8分の1に短縮するとともに、購買人数が5%向上した。