そのためまずは1要素に精通しているメンバーでチームを組むことをオススメする。第1回で述べられているようなデータエンジニアリングのスキルを持つ人材(情シス)、そしてビジネス力を持つ人材(マーケ)の2人が必須のメンバーとなる。
なお「データサイエンス力を持つ人材は必要ないのか」と思われるかもしれないが、データ分析をこれから始める段階の企業はクロス集計などの基礎的な分析でも多くの情報を得ることができる。このような人材については基礎的な分析が済み、もっと高度な分析や予測モデルの構築が必要になった際にアサインを行うといいだろう。
小規模な混成チームを組むことでそれぞれの専門領域で成果を出しつつ、他領域についても学ぶ事で2領域、3領域とデータ分析者としての幅を広げてゆくのである。
チーム編成の際のポイント
バックグラウンドの違う複数の部署でのチーム編成においては、以下の点に留意する必要がある。
- 分析テーマのビジネス上のインパクトと実現可能性
- 他領域への興味と理解
- スピード感と正確さのトレードオフ
順を追って説明する。
まず、分析テーマのビジネス上のインパクトと実現可能性について。ビジネスへのデータ活用においては分析による利益拡大や新たな知見を得ることが求められる。
利益拡大の観点で言うと、例えばEC系のサービスであれば購入者の分析やヘビーユーザー分析、会員制サービスであれば新規会員の獲得や退会者の離脱原因分析といったテーマが分析利益に直結するため、インパクトの大きいテーマとなる。
また、どの企業も広告費は多額の金額が動くため、広告効果の分析もインパクトが大きい。データ分析にかかるコストが同じ場合は、なるべくビジネス上のインパクトが大きなテーマを選ぶといいだろう。
一方、第2回で顧客がどのような商品の組み合わせをよく購入しているかを分析する「アソシエーション分析」の事例で紹介したオムツとビールのような発見は狙って出せるものではく、偶然性に左右される部分が大きい。分析を依頼する側からはこのような発見を期待されることも多いが、まれなケースであることを伝え期待値を調整する必要がある。データ分析に入る前に「実現可能性の高いテーマ」「実験的なテーマ」「データ分析では解決できないテーマ」などの判断を意識するといいだろう。
また、初期の分析チーム立ち上げ期でテーマの難易度の判定に悩む場合は顧問のような形で外部の分析コンサルにアドバイスを求めるのも1つの方法である。