次に、他領域への興味。
データ分析をビジネスに活用するためには複数領域への知識が必要であるため、それぞれの領域を専門としつつも、違いの領域に対しても学び尊重できる人選が望ましい。特に扱うデータのビジネス領域における理解は重要である。
ビジネス領域への理解のないまま作業者としてデータ抽出を行っても、依頼した側からは抽出結果についてすでに知っている内容であると言われたり、特徴的なデータ変動があってもどのように解釈すればいいかがわからない。データ分析を始めるタイミングでは主にビジネス課題を持つマーケ部に経験則や暗黙知の状態でノウハウが溜まっていることが多いため、積極的なコミュニケーションが求められる。
最後に、スピード感と正確さのトレードオフについて。情シスのように主にエンジニアリングをバックボーンとしたメンバーは、主に数値の正確性を重視する傾向が強いが、ビジネス上は多少の正確性は犠牲になってもスピードを求められるケースが多い。
例えばファッション業界のように、季節で環境が変わるようなビジネスの場合はシーズン内で利用できる結果が必要であり、ソーシャルゲームのように月に何度もキャンペーンを打つビジネスのデータの分析では1週間のキャンペーンを実施した後、数日後には分析結果のフィードバックが求められる。
ビジネス現場においては外部環境の変化によりタイミングを失うと価値を失う、鮮度が大切な分析もあるという点に気をつけたい。データの分析の際も、精緻に分析するには時間がかかるものの、サンプリングでの集計であれば半分の時間で済む、といったケースではまず大まかな速報値を出し、追って精緻な数値を出すなどマーケ担当と相談しながら進めるとよいだろう。
成功事例ができたら
スモールスタートで始めた分析チームが成果を上げた後は、実績を元に、さらに人員を増やしビジネスへのデータ活用を加速させるとよいだろう。
その際のキーワードとしては
- 複数チームと専門化
- 知見の共有
- 経営層を巻き込む
の3点があげられる。
まず複数チームと専門化だが、自社が複数のサービスを手がけている場合はそれぞれに分析チームを割り当てるという方法が考えられる。分析チームが専門領域を持つ事で扱うビジネス領域やデータの特性について深く知る事ができ、より深い分析が可能となる。