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クラウドで試験運用、訴訟での反証の必要性--製造業ソフトウェア化の時代

大西高弘 (NO BUDGET)

2016-03-24 07:30

 自動車や航空機でソフトウェアの不具合が数多く報道されている。トヨタ、ホンダ、三菱自動車など日本の自動車メーカーでもここ数年、ソフトウェアの不具合を原因としたリコールが発生している。

 Airbusが開発中の軍用輸送機が墜落事故を起こしたケースでも、エンジンを制御するソフトウェアが原因ではないかと指摘された。また、日本も導入を計画しているLockheed Martinの戦闘機F35でも、ソフトウェアの不具合があるという報道がされた。

 自動車や航空機で何かが起きれば人命にかかわる事態になりかねないので、ソフトウェアの不具合も、通常のIT製品以上に社会から厳しく問題視される。今後、工業製品のソフトウェア制御はさらに進んでくと想定されるので、メーカーにとってもソフトウェアの品質管理は重要な課題だ。

 冒頭に挙げた自動車メーカーの不具合は、ハイブリッド車での不具合だが、自動車、航空機を始めとした工業製品分野では、多くの部品においてソフトウェアの重要性が増している。

 エンジンの制御などの根幹部分にソフトウェアがかかわるようになっている。エンジンの駆動について、ソフトウェアが制御の多くを担うようになると、エンジンの構造にも大きな影響を及ぼすよ。特にピストンエンジン(レシプロエンジン)やガスタービンエンジンやジェットエンジンなどの分野では、構造を単純化したり、軽量化、低コスト化を進めやすくなるという。

 また、自動車や航空機だけではない。カメラや家電製品などでもソフトウェアによる制御は進んでおり、センサ情報を集約するIoTの分野でも、例えば工場やプラント施設などでは、集約した情報をもとに、ソフトウェアによる自動制御を目的にしていることが多い。

ハードとソフトの開発情報を一元化する仕組みを

米Arasの日本法人、アラスジャパンの社長を務める久次昌彦氏
米Arasの日本法人、アラスジャパンの社長を務める久次昌彦氏

 今後、工業製品のソフトウェアによる制御部分がますます増える以上、ハードウェアとソフトウェア両方に関する情報を一元管理し、それぞれの開発部隊が逐一問題を発見し、迅速に解決できる体制を整える必要がある。EBOM(設計BOM) 、MBOM(製造BOM)といった部品管理手法にソフトウェアの情報を連動させることが大切だ。

 製品ライフサイクルマネジメント(PLM:Product Lifecycle Management)製品を開発、提供している米Arasの日本法人、アラスジャパンの社長を務める久次昌彦氏は、次のように話す。

 「リコールや事故はどの製造企業も避けたいのは当然です。一方で、ソフトウェアの制御が占める割合が増加していくのは、止められない。企業ブランドの維持、経営効率の向上など、競争力にかかわるすべての分野で、ソフトウェアの開発力は重要な課題となっています」(久次氏)

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