「報告はテレビ会議で聞いた方が効率がいい」--テレワークを実践する総務省

山田竜司 (編集部)

2016-04-06 07:00

 現在、総務省は場所や時間を柔軟に選択できる働き方「テレワーク」を推奨している。ワークライフバランスの実現や移動時間に作業できるといった企業の生産性の向上、女性や高齢者などの社会参加、人口減社会や事業継続計画(BCP)向けなど、さまざまな社会課題の解決へ向けた貢献が期待されているためだ。

 テレワークの普及に関する数値目標や工程表は、2015年に改定した「世界最先端IT国家創造宣言」などで定められ、第2次安倍政権では新成長戦略の要として、省庁を横断した普及、促進のための取り組みが進められている。

 一方、テレワークの制度などを「導入している」と回答した企業は7.9%、「検討している」「関心がある」と回答した企業を加えても21.7%程度という状況である。


企業におけるテレワークのための制度・仕組みの導入状況(全体)(出典)総務省「地方創生と企業におけるICT利活用に関する調査研究」(平成27年)

 そんななか、総務省では新たなワークスタイルの実現ための手段としてテレワークの実証をさまざまな企業に対して実施している。IT環境や労務管理面などでの実証を通じ、テレワークが進んでいない中小企業も対象に、業種や業態に限らない企業に有効なテレワークのモデルの確立を目指しているという。

 このプロジェクトを推進している総務省とNTTデータ経営研究所に話を聞いた。

テレワークの有効性は自ら立証する


総務省 情報流通振興課 情報流通高度化推進室 課長補佐 橋本桂樹氏

 「報告書のフォーマットを指定通りそろえてください」――横浜と霞が関、永田町、豊洲といった複数拠点間での1時間のテレビ会議が終わった。こうしたテレビ会議やチャットなどを通じ、実証のかたわら、総務省自らテレワークの実践に励んでいるという。

 省内はもちろん、テレワークを安全に実施できる環境を整えた事業者やステークホルダーともテレビ会議やウェブ会議を実施しており、時間や場所に左右されない環境を構築する意向と説明する。総務省自体が「テレワークReady」である状況を目指していることがうかがえる。

 「推進している以上、連携している事業者とテレワークを実施する意向があります。総務省は機密情報を扱うのでテレワークを安全に実施できる環境を整えた事業者であることが前提ではあるのですが。顔を突き合わせて話したほうがいい場合がある一方、そうでないケースも多い。何が何でもウェブ会議を利用するべきというわけではないが、多拠点での報告会議などの用途では特に有用です」(総務省 情報流通振興課 情報流通高度化推進室 課長補佐 橋本桂樹氏)

 いままで交流がなかった事業者が飛び込みでウェブ会議がしたいといわれても難しい状態ではあるものの、悪天候で外出できない際には取り引きしている事業者とテレワークで会議をした方がお互い効率がいいと語る。


総務省のテレビ会議の様子

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