一部の人たちからは、「ぬかるんだ競技場で100メートルの短距離走をするようなものになる」といった予想も出てきているが、それは間違っている。Kirkland氏は「これはとてつもなく速い。sysbenchユーティリティの結果ではCPUやメモリ、IOパフォーマンスでほとんど変わらないことが示されている」と主張している。
WSLはまだ実用段階には至っていない。Canonicalの関係者は「まだ初期の段階であり、ベータリリースだ」と述べている。またKirkland氏は「LTP(Linux Test Project)のほとんどのテストにはパスしており、問題なく動作する。とは言うものの、特にtty関連やVT100関連では、まだ不完全なところがある。わたしの大好きな『byobu』や『screen』『tmux』もまだ完全には動作していないものの、完成に近づいてきている」と記している。
これは新しいアイデアというわけではない。その源流をたどれば「Windows NT POSIX」サブシステムにまで行き着く。NT POSIXはネイティブなUNIXのバイナリを「Windows NT」上で稼働させるためのものだった(当時、Linuxはまだ誕生していなかった)。
Kirkland氏は「Microsoftが、このようなかたちで開発者に向けてオープンソースの重要性を表明するというのは、ほとんど夢のような話だ。(これは)フリーかつ、オープンソースのテクノロジという世界と、地球上のあらゆるWindows 10デスクトップを直接つなぐための素晴らしい機会だと言える。また、パブリッククラウド上でUbuntuやLinuxを学習したり利用したりするうえでの素晴らしい取っかかりとなる」とも記している。
Canonicalの創業者Mark Shuttleworth氏は「仮想化やエミュレーションを行わずとも、Windows上で完全なUbuntu環境をネイティブなかたちで利用できるというのは、これまでの概念を打ち破る画期的な出来事だ。われわれは、Windows版のUbuntuを後押しできることを光栄に思うとともに、この素晴らしく、新たなやり方でLinuxを探求しようとするWindows開発者のニーズに応えていくことを約束する」と述べている。
Windows 10向けの最初のUbuntuイメージである「Ubuntu 14.04 LTS」は近日利用可能になる予定だ。また、「Ubuntu 14.04」の後継となる「Ubuntu 16.04 LTS」は、4月21日にリリースされた後、ほどなくして「Windows Store」上でも利用可能になるという。なお、同イメージはRedstoneのコードに依存しているため、Build 14251以降のWindowsを稼働させている必要がある。Microsoftは「Windows 10 Anniversary Update」をこの夏にリリースすると発表したばかりだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。