調査

小規模企業の不満「ベンダーに経営戦略を相談できない」--IDC

NO BUDGET

2016-05-11 07:00

 IDC Japanは5月10日、2016年3月に実施した国内中堅中小企業ユーザー調査の結果を発表した。今回の調査対象は従業員規模999人以下の企業で、それによると、2016年度(会計年)のIT支出予算については、前年度から「増加する」と回答した企業は3分の1程度で、2015年度の同じ数字を若干下回った。

 また、約半数の企業が「同じ/変わらない」としていることから、同社では2016年度においてもIT支出予算が慎重な中堅中小企業は依然として多いとみているという。


中堅中小企業および大企業におけるIT支出予算の前年度増減:2015年度、2016年度(IDC提供)

 中堅中小企業では、従業員規模にかかわらず、IT支出重点事項としてセキュリティ関連の項目を挙げる企業が多くなっている。セキュリティ関連項目で最も多く挙げられたのは「情報漏えい対策」だったが、2016年度、2017年度のIT支出重点項目では「ID/アクセス管理強化」または「脅威管理強化」の優先順位が高まっている。

 「マイナンバー制度」対応に加えて、サイバーセキュリティ犯罪が頻発しており、情報漏えいによる損害が甚大となっていることから、中堅中小企業においても継続的なセキュリティ強化が求められているため、より高度なセキュリティ対策を検討する企業が増加していることが要因とみられる。

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 中堅中小企業が抱える経営課題としては、「売上拡大」の回答率が昨年の調査と同様に最も高い。円高などで不透明感が高まっている国内経済において、いかに業績拡大を図るかを課題とする企業が多いとみられる。なお、IT活用による効果が期待できる課題としても「売上拡大」を挙げる企業が最も多くなっており、業績拡大を目的に戦略的なIT活用を図る中堅中小企業は、現時点では一部にとどまっているものの、今後徐々に増加することが見込まれる。

 ただし、「ITベンダーに不満を持つ点」として、特に従業員規模1~99人の小規模企業では「経営戦略に直結する相談ができない」を挙げる企業が比較的多くなっている。つまり、小規模企業では、業績拡大を目的としたIT利活用を模索しているものの、ITベンダーから適切な提案などが行われていないことが不満につながっていると考えられる。

 同社ITスペンディング リサーチマネージャーの市村仁氏は、このことについて「ITベンダーは、ユーザー企業に対して経営課題(例:売上拡大など)に関する相談を受ける体制を構築すると共に課題解決につながるITソリューションの提案を積極的に行うことが重要である」と分析している。

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