Salesforce Connections

マーケターがデジタルトランスフォーメーションを牽引--米アトランタでSalesforce

末岡洋子

2016-05-13 11:08

 Salesforce.comは5月10日、米アトランタでマーケティングのイベント「Salesforce Connections 2016」を開幕した。

 基調講演では同社のMarketing Cloudを率いるScott McCorkle氏が「顧客の時代」をテーマにデジタルマーケティングのビジョンを語り、集まった約6000人のマーケティング担当者に向かって「マーケターはブランドを所有しており、デジタルトランスフォーメーションの牽引役となる」と呼び掛けた。


Marketing Cloudを率いるScott McCorkle氏

 デジタルトランスフォーメーションを推進しているのはクラウド、モバイル、ソーシャル、データサイエンス、IoTなどのトレンドだ。このトレンドを活用し、Uber、FitBit、Airbnbなどがいわゆる「ディスラプション」を仕掛けている。例えば、配車サービスでありながらタクシーを1台も所有しないUberは、創業6年目にして評価額は500億ドルを超え、運輸業界の構造を崩壊させようとしている。

 「技術を利用してイノベーションを起こす、またとないチャンスだ。崩壊されるべきものは崩壊される時代になった」とSalesforce.comのCOO、Keith Block氏は述べる。CEOはどこも、デジタルトランスフォーメーションが重要な課題で、自社や従業員にとって何を意味するのかを模索しているという。

 営業支援でスタートしたSalesforce.comは、3年前の2013年に電子メールマーケティングのExactTargetを約25億ドルで買収、Marketing CloudはExactTargetが中核となっており、ExactTargetを率いていたScott McCorkle氏がCEOとして同事業を率いている。

 McCorkle氏はマーケティングからみたUberの成功要因を、「アプリ一つでタクシーを呼び、乗車し、支払い、サーベイを提出できる。顧客からみるとただのアプリだが、製品体験と顧客体験が同じになっている」と語る。そして、1980年代創業の会計ソフト企業Intuitの確定申告アプリを見せる。音声で質問するとバーチャルアシスタントがどうすればよいか教えてくれるというもので、簡単に入力して申告できるのが売りだ。

 やはり「製品体験と顧客体験の境界がなくなっている」とMcCorkle氏。ベンチャー企業かどうかに関係なく、「デジタルマーケティングで技術を持っている人、持っていない人があると考えるべきではない。Uberは自分たちとは違う世界のものと考えるのは間違っている」と警告する。実際、顧客体験はどの企業にとっても大きな課題で「2016年には89%の企業が顧客体験が主戦場になる」とGartnerも予想している。これは4年前の36%から倍以上の増加だ。

 「将来のマーケティングは顧客関係管理(CRM)の境界を曖昧にする。顧客とできるだけ早期につながり、獲得し、関係を築いて自社をレコメンドしてくれる存在になってもらう。この間、広告、モバイル、メール、ウェブ、ソーシャル、オフラインでより良い体験を提供する必要がある」とMcCorkle氏。

 それを支援するのがSalesforce.comの「Customer Success Platform」だ。セールス、サービス、マーケティング、アナリティクス、コミュニティなどを含む完全なCRMで、企業はこれを利用して顧客と新しい方法でコネクトし、スマートフォンからビジネスを動かし、顧客の洞察を得て、ワンツーワンのカスタマージャーニーを構築できると続けた。

Salesforce.comが描く一貫性のあるワンツーワンマーケティング
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